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“アンティエンヌ”交響曲 (1998)

(Symphonie“Antienne”)

“アンティエンヌ”とは、ラテン語で言う“アンティフォナ”をフランス語で言い表したものである。アンティフォナとは、グレゴリオ聖歌の中で、ミサの前など特定の祝日にだけ歌われる叙事的な歌のことをいう。その他にも、賛美歌などの前後で歌われる短い歌(交唱)をさす場合もあるが、私の意味するところのアンティフォナは前者の方である。この作品のテーマとなっているグレゴリオ聖歌「真空なる十字架/舌よ、歌え」は、多くのそれらの中でも特に私の心に残ったものである。

2年前の「ディストラクション」(破壊)という管弦楽作品で、予想しえなかった自分自身の逃れえぬ運命への憤り、哀しみ、そして恐怖を作品にしたが、この「アンティエンヌ」では、世紀末の黄昏を感じつつ、ただ「祈り」という形で救いを求めたのである。

この作品は、3楽章が切れ目なく続けて演奏される。グレゴリオ聖歌のテーマを中心に展開する1楽章、一転してつかみどころのない困惑した音響の中から浮かび上がるコラールのテーマを中心にした2楽章、そして3楽章では、苦悩の叫びの中で聖歌とコラールのテーマが一体となって歌われ、最後には、静けさの中で「祈り」だけを残して終わる。

最後に、今回の演奏会で指揮をして下さる小松一彦氏、東京フィルハーモニー交響楽団の皆様、および日本交響楽振興財団の方々に心から感謝申し上げます。

小栗克裕

 

 

 

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