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PROGRAM NOTES

 

モーツァルト/ディヴェルティメント

モーツァルトが第2回イタリア旅行からザルツブルクに帰郷して間もない1772年1月から3月頃までに完成された。(モーツァルトのk機会音楽は、成立の時期から考え5つの時期に分けられる。彼の15歳から18歳までを第二期といってさしつかえない)「ディヴェルティメント」というイタリア語は、本来は「娯楽」「気晴らし」を意味し、音楽作品の場合は一般に「嬉遊曲」と訳されている。

K.136は急緩急の楽章構成をとる。第1楽章はイタリア的な明るさに支配されたソナタ形式楽章。第2楽章はやはりソナタ形式で、イタリア・オペラのアリアを思わせる優美な楽章。第3楽章は躍動感あふれるソナタ形式のフィナーレ。プレストのロンド的なリズムで一貫していて、展開部では新しい楽想がもたらされてフガート的に扱われる。

 

松下功/和太鼓協奏曲 飛天遊

松下功は1951年東京生まれ(狭山市在住)。東京芸術大学及び同大学院で作曲を南弘明、黛敏郎の各氏に師事。

和太鼓協奏曲「飛天遊」は1993年から94年にかけて作曲され、1994年7月30日にサントリーホールで新星日本交響楽団(指揮/現田茂夫)により初演されている。

和太鼓は『祭』という独自の儀式の中で、時として、天と地を結び付ける役目として発展してきた。この作品『飛天遊』では「天に飛び、遊ぶ」という3文字に象徴されるように3つの部分で構成されており、全体は和太鼓の自由な動きを中心に、静から動へと発展していく。

 

チャイコフスキー/交響曲第5番

交響曲第4番と第6番に並んでチャイコフスキーの傑作とされるこの曲は、ベートーヴェンの「第5番」から80年を隔てた1888年、48歳の時に作曲された。冒頭におかれた「運命の動機」が全曲にわたって重要な意味合いをもつものとなる。

第1楽章は冒頭の2本のクラリネットの旋律が「運命」を意味するものであると作曲者自身が暗示している。重々しい行進のリズムで開始する楽章主部は、「運命の主題」は現れない。

第2楽章はチャイコフスキーの交響曲の中でも、最も美しい楽章。中間部ではクラリネットの物悲しい旋律で始まるが長くは続かず「運命の主題」がその安らぎを激しく破る。

第3楽章は作曲者得意のワルツだが、第3楽章にワルツを用いたのは新機軸である。終わり近く、「運命の主題」が暗く出現する。

第4楽章は序奏部分で「運命の主題」は長調に変化し姿を現し、聴き手に一種の安堵感をあたえる。主部は今までのコラール的な安定感に対して、せわしない民衆のお祭りのようである。チャイコフスキー特有の押しの強い楽想にあふれているが、その中にも「運命の主題」は何度か形を変えて出現する。総休止をはさんで曲は最後のクライマックスへ。

 

新星日本交響楽団

(管弦楽) ORCHESTRA

Japan Shinsei Symphony Orchestra

 

新星日本交響楽団は1969年(昭和44年)、国内初の自主運営のオーケストラとし創立し、意欲的な演奏活動により楽壇に新風を送り込み好感をもって迎えられました。1977年5月楽団顧問に故山田一雄が就任。1981年3月27日には財団法人の認可を受け、初代理事長に劇作家の飯沢匡が就任し、第一級のオーケストラとしての基礎を確立しました。

現在、サントリーホール、東京芸術劇場での年間18回の定期演奏会をはじめ、コンサート、オペラ、バレエ、TV及びFM放送への出演等、多彩な演奏活動を行っています。その人間味あふれる温かさに満ちた演奏、音楽に対する情熱的で真摯な姿勢と高水準の演奏は、各方面より絶大なる評価を得ています。また、音楽を限られた人々の喜びにするのではなく、親しみやすくユニークな企画で聴衆を拡大しながら、オーケストラを聴く機会の少ないところへも積極的に出かけ、国内における演奏活動の充実に務めてきました。音楽物語『窓ぎわのトットちゃん』(語り:黒柳徹子)はその代表作のひとつです。

1990年には楽団創立20周年記念事業として初のヨーロッパ公演を行い、「アストリア・フェスティヴァル」(スペイン)、「ドレスデン音楽祭」(ドイツ)をはじめ、各地の音楽祭へ参加しました。また、1995年5月の第2次ヨーロッパ公演では、著名なチェコの「プラハの春」国際音楽祭(ドヴォルザークホール)での招待演奏会をはじめ、ドイツ〔ライプツィヒ・ゲヴァントハウス及びベルリン・コンツェルトハウス〕、イギリス「ブライトン国際フェスティヴァル」、ルクセンブルク「95ヨーロッパ文化首都」、スロヴァキア〔プラティスラヴァ・フィルハーモニーホール〕、スペイン〔バルセロナ・カタロニア音楽堂〕の6ヶ国で公演し、各地で高い評価を受けました。このほかにもアジア・オセアニア諸国との音楽交流に力を注ぎ、すでに100曲を越える作品を国内に紹介してきました。1995年12月、これら創立以来の広範な活動と成果に対し第19回音楽之友社賞を受賞しました。

1997年7月、財団理事長に黒柳徹子が就任。1997年10月にオープンした新国立劇場のレギュラー・オーケストラとして更に活動の場を広げ、黒柳新理事長の下、“芸術と響き合う”“人間と響き合う”“自然と響き合う”“コミュニティーと響き合う”“アジアの国々と響き合う”の5つの響き合うをテーマに、音楽芸術の普及と向上のための全国的な活動を展開しています。

故山田一雄を永久名誉指揮者に冠し、1999年4月より主席指揮者パスカル・ヴェロ、名誉指揮者兼芸術顧問オンドレイ・レナルト、指揮者現田茂夫の新指揮者体制をスタート、さらなる音楽的な飛躍をめざします。

 

 

 

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