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曲目解説

 

バッハ:

フーガ ト短調(小フーガ) BWV.578

この曲は、バッハの数あるオルガン曲の中で最も広く親しまれているもののひとつで、ポップスにアレンジされたこともあるほど魅力に溢れた曲です。「小フーガ」と呼ばれるのは、BWV.542のト短調「大フーガ」と区別されるためです。なお、今日は、映画「ファンタジア」でおなじみのイギリス生まれの指揮者ストコフスキーの編曲による版で演奏されます。

 

無伴奏パルティータ 第2番 ニ短調 BWV.1004より

シャコンヌ

バッハの無伴奏ヴァイオリン曲の頂点を飾る屈指の傑作です。もともと、シャコンヌはメキシコからスペインに渡米した、ゆるやかな3拍子の荘重なリズムの舞曲の形式ですが、バッハはその形式で、一定の主題を間断なく反復しながら演奏する一種の変奏曲として作曲しました。このパルティータ(変奏曲)は5曲の舞曲形式から出来ていて、シャコンヌはその第5曲です。

 

ベートーヴェン:

交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」

あらゆる音楽の中で最も広く知られているもののひとつが「運命」です。この第5交響曲は、作曲者37歳の時の作品ですが、この時代の頂点を示すものであり、緊張感とエネルギーに満ちあふれた音楽はベートーヴェンの充実した気力と円熟した創作力をまざまざと示しています。

「運命」という副題は、ベートーヴェンがつけたものではなく、彼が弟子のシントラーに第1楽章の動機を説明するのに「かく運命は戸をたたく」と言ったという逸話から、後世の人がつけたものです。

 

ブラームス:

ハンガリー舞曲集より 第5番 嬰へ短調

第6番 変ニ長調

ブラームスは、交響曲、協奏曲、室内楽曲、歌曲などの分野にわたってすぐれた作品を残しました。ハンガリー舞曲は、全部で21曲から成り、原曲はハンガリーの国民舞踏曲調をもとにしてピアノ連弾用に作曲されたものです。この中では、今日とり上げた5番と6番が最も良く知られています。

 

ブルッフ:

ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26

1838年ケルンで生まれたブルッフはヴァイオリン協奏曲を3曲作曲しています。彼は特にヴァイオリンの名手ではありませんでしたが、この協奏曲はメンデルスゾーンのホ短調のヴァイオリン協奏曲をモデルにして作曲されたと言われるように、甘く感傷的なメロディーを徹底して歌っていることなど共通点も多い曲です。名ヴァイオリン協奏曲のひとつに数えられています。

 

ベルリオーズ:

「ファウストの劫罰」よりハンガリー(ラコッツィ)行進曲

ベルリオーズの作品は、「幻想交響曲」と、他の数曲を例外としてめったに演奏されることがなく、この「ファウストの劫罰」も、ベルリオーズが生きている間は日の目を見ることがありませんでした。「ファウストの劫罰」はゲーテの叙情詩をもとにしたファウストとマルガリータの物語で、4部(幕)の劇的物語或いはオペラとして上演される作品です。ハンガリー行進曲は、その第1部(幕)に挿入されたものですが、この曲の主題が18世紀のハンガリー独立運動を指導した英雄ラコッツィに由来する国民的軍隊行進曲のメロディーであることから、このハンガリー行進曲がラコッツィ行進曲とも呼ばれているのです。

 

ビゼー:

「カルメン」第一組曲より

ビゼーは若くしてこの世を去りましたが、歌劇「カルメン」、劇音楽「アルルの女」などすぐれた作品を残しました。「カルメン」は、今日でも世界中で上演され人気を博していますが、この歌劇をもとにした「カルメン」第一組曲は、全4幕の前奏曲を集めて自由に配列した全5曲から成る組曲です。「前奏曲」はオペラの第1幕の前奏曲。「アラゴネーズ」はスペインのアンダルシア地方の民族舞曲をもとにした第4幕の間奏曲(第1幕以外は間奏曲といっています)。「アルカラの竜騎兵」は第2幕の間奏曲。「フィナーレ」は第4幕の闘牛士の行進の部分です。

 

ボロディン:

交響詩「中央アジアの草原にて」

ボロディンはムソグスキーやリムスキー・コルサコフらとともに、ロシア国民音楽運動の先駆者として活躍した人ですが、本業は医学者です。余暇を利用して音楽の研鑚にも励み、中央アジアなどの音楽も研究しました。特にこの「中央アジアの草原にて」は単純素朴な楽器の用法で東洋の色彩を表した名曲で、1880年、ロシアのアレクサンドル二世の即位25年祝賀のために作曲された交響詩です。

 

ビゼー:

「アルルの女」第二組曲より ファランドール

「アルルの女」の音楽は、美と真実に溢れた傑作で、歌劇「カルメン」の音楽とともに不朽の価値を認められています。この戯曲の付帯音楽の27曲の中から4曲を選んで親友のギローが編曲した第二組曲の第4曲が「ファランドール」です。村人たちの踊るファランドール舞曲が繰り返されて熱狂を加えてゆくうちに行進曲と組み合わされて最強奏で奏せられ、壮快な中に終わります。

 

 

 

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