S.ラフマニノフ(1873〜1943)
ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調
ラフマニノフはピアノの名手としても知られ、作曲家としてはロシア音楽史上に名をとどめる業績をのこした。その作品は管弦楽曲・室内楽曲・声楽曲・ピアノ曲の各分野にわたってすぐれた作品を残した。特にピアノ曲には傑作が多く、ピアノ協奏曲が最も有名である。
この曲は1990年に着手され、1901年に完成、同年10月27日モスクワにおいてラフマニノフ自身の独奏とともに初演され、初演当時から絶賛を浴びてラフマニノフの作曲家としての名をなさしめた名作であり、彼の4つある協奏曲の中でも今日なおもっともよく演奏される名曲である。なお、これは1904年にグリンカ賞を得て名実ともに彼の出世作ともなった。
第1楽章 モデラート (ハ短調)
第2楽章 アダージォ・ソステヌート (ホ長調)
第3楽章 アレグロ・スケルツァンド (ハ短調)
L.V.ベートーヴェン(1770〜1827)
交響曲 第5番 ハ短調「運命」
この曲は、ベートーヴェンの最円熟期になった画期的な傑作に属し、純粋な古典形式に立脚しながら、自由に個性の強い魂を語り、豪胆に悲愴と闘争と情熱を盛り上げた点で、第3の「エロイカ」をしのぐ驚異的な作品である。
第1楽章は、いきなり荒々しい異様な第一主題をもって始まる。主題は最初の4つの音に要約され、あとはこれを反復し、積み重ねて、さらに優しさに満ちた第二主題へと続く。この2つの主題によって全楽章は組織的に築き上げられていく。まさに主題構成法として典型的なソナタ楽章である。
ベートーヴェンはあるとき弟子のシントラーに、第1楽章の動機を説明するのに「運命はかく戸をたたく」と言ったという逸話があるが、この一言によって今日まで俗に「運命交響曲」の別称をもって呼ばれている。また、パリ初演の際に、ナポレオンに仕えた一老兵が「皇帝だ!皇帝万歳」と叫んだことから、当時のパリでは「皇帝交響曲」の名を持って呼ばれていたと伝えられている。第2楽章は変奏曲、第3楽章はスケルツオ。第4楽章では、これまでの黒い雲を払いのけ、輝かしい勝利の凱歌が高らかに響きわたり、ここにはもはや、運命の闘争の後の英雄の勝利の歌が全てを圧倒している。
また、この曲は第6番「田園」と並行して作曲され、同時の初演された。全く正反対ともいえる性格の音楽が双子のように作られたというのも、ベートーヴェンの人間像を考えるとき大変興味深い。
第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ (ハ短調)
第2楽章 アンダンテ・コン・モート (変イ長調)
第3楽章 アレグロ (ハ短調)
第4楽章 アレグロ (ハ長調)