日本財団 図書館


喜歌劇「こうもり」

 

1873年作曲、1874年初演。

この喜歌劇(オペレッタ)の台本はハフナーとジュネの2人によって書かれました。その台本にシュトラウスが42日間という短い期間で一気に作曲し、みごとなまでの喜歌劇(オペレッタ)に仕上げています。

主人のアイゼンシュタイン、その妻ロザリンデ、女中のアデーレ、ロザリンデのかつての恋人アルフレッド他の登場人物がおりなすコミカルなストーリーは見ている聴衆を笑いの渦に巻き込みます。このおもしろおかしいストーリーにピタリとはまった音楽によって、更にその場を盛り上げます。第2幕の舞踏会の場面では、ワルツや民族舞曲がふんだんに使われ、シュトラウスらしさがうかがえます。

 

本日の演奏は、全幕の聴かせどころをつらねた、いわゆるポプリ(接続曲)風の親しみやすい序曲とアリア「侯爵様あなたのようなお方は」、アリア「チャルダシュ」(ソプラノ独唱)をお贈りします。

 

"常動曲"

 

"永遠なる動き"を意味するタイトルが付けられた、テンポの速いこの作品は、シュトラウス自身が"冗談音楽"と呼んだ、愉快で快活な曲です。そのタイトルからもわかるように、この曲には終わりがなく、指揮者が終わりを告げるまで常に冒頭に戻り、永遠に繰り返し演奏し続けられるように書かれています。

弦による軽快なテンポの前奏に続き、せきたてられるような旋律が始まります。その後も新しい細切れのような旋律がいくつも現れ、それらはさまざまな楽器にバトンタッチされていきます。指揮者の指示がないかぎりエンドレスで奏されるこの曲には、産業革命で急速に機械化が進んでいた当時話題になっていた機械の永久運動が描かれています。

 

ポルカ「狩り」

 

1875年作曲、初演、ハ長調、4分の2拍子。

この曲は二部形式でできた主部と、これもまた二部形式からなるトリオを、主部-トリオ-主部という簡単な三部形式にまとめ上げた曲となっています。またこの曲は、十分に楽しませてくれる要素を持っており、曲を聴くだけでタイトルにある『狩り』の様子が思い浮かびます。

 

ポルカ「観光列車」

 

1870年作曲、初演。

この曲の軽快なテンポは、豪華な列車に乗って愉快な旅を楽しむ人々の情景を描き、そのリズムは蒸気機関車の力強い動きを模しています。

またこの愉快な作品は小品ながら、管楽器や打楽器を巧みに扱うシュトラウスの腕前のほどをうかがい知ることができます。列車の汽笛やベルの音を表すホルンとトライアングルの音に注意して聴いてみましょう。短い曲ではありますが、弦楽器が汽車のゴトゴト走るリズムを刻むなど、音楽的に豊かな色彩が感じられます。途中で変化する調性が、列車の揺れる様子を表します。

 

ポルカ「雷鳴と稲妻」

 

1868年作曲、初演、ト長調、4分の2拍子。

この生き生きとしたポルカは激しい雷雨のもつ自然の力からインスピレーションを得て書かれたもので、自然のもつ音をいかに表現できるかをオーケストラに要求しています。

この要求に対して、大太鼓の連打が雷鳴を、シンバルが稲妻を表し、応えます。"嵐"は終始とどまるところを知らず、最後は大太鼓とシンバル、そして小太鼓の連打で締めくくられます。

 

ワルツ「美しく青きドナウ」

 

1867年作曲、初演。

この曲は、もともとウィーンの男声合唱協会からの依頼により合唱付きのワルツとして作曲されました。合唱を伴う舞曲としてはシュトラウスにとっては最初の試みだったのですが、不幸なことに、添えられた歌詞がアマチュア詩人による陳腐な内容であったためウィーンの人たちには不評で、初演で人気を獲得することはできませんでした。しかし、のちに管楽器用に編曲されてからは急激に評判が上がり、たちまちヨーロッパ全土で大流行しました。

弱音器付きの管楽器と弦がトレモロで刻む伴奏で、ゆっくりとした、しかし雄大な序奏が奏された後、オーケストラは世界中の人々に最も親しまれ愛されている、喜びに満ちた有名な主題へと突入します。音楽がドナウ川の流れのように渦を巻きながら流れてゆくにつれ、さまざまな旋律が、時には喜ばしげに、また時にはためらいがちに導入され、反復されます。コーダ(終結部)では冒頭の主題が戻ってきて、ふたたび音楽は静かな雰囲気になりますが、最後に華やかな響きで締めくくられます。

 

 

 

前ページ   目次へ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION