おわりに
今回の調査研究においては、神戸港の内航フィーダー輸送、フェリー輸送の実態を踏まえ、約一年間かけて神戸港が抱える課題とそれを克服するための活性化方策について検討・整理した。
本調査では、神戸港のサービス水準が国内外の他港と比較しても素晴らしい水準であることが明らかになった反面、アジア諸国間で繰り広げられるハブ機能拡大に向けた厳しい競争の現実と、我が国港湾における地方港の外貿航路の拡大に向けた積極的な取り組みが改めて浮き彫りとなった。
神戸港を取り巻く環境は今後も厳しいものと考えられるが、神戸港のフィーダー機能の低下は、神戸港のハブ港としての地位低下を助長するものであるとともに、神戸港を事業基盤として港の発展に貢献してきた港湾物流事業の経営にも大きな影響を及ぼすことが懸念されており、早急な対策を講じることが喫緊の課題となっている。
従って、今後は、本報告書にあげた諸対策を早急に実行に移していくことが求められる。
ここで留意しなければいけないのは、調査研究委員会でも指摘されたように、大切なことは方策を報告書の形にとりまとめる作業なのではなく、方策を実行するということであるということに加え、神戸港の競争力の拡大を図るためには、関係者が一体となった積極的な取り組みが求められると言うことである。
そのため、外航船社、利用運送業、内航フィーダー船社、フェリー事業者、そして物流事業者、行政という神戸港の関係者が一体となって、諸対策を実行に移していくとともに、荷主企業への理解を広く求めていくことが重要である。
さらに、調査研究委員会では、神戸港全体の競争力を一層高めていくためには、神戸港関係者だけの取り組みでは十分とは言えず、港湾整備のあり方や国内の港湾間連携のあり方も含め、今後も議論を深めていくとともに、国、関係機関、国内他港との連携の必要性が指摘されている。
本報告書をきっかけとする神戸港関係者の取り組みが、神戸港の発展の礎となることを願って本報告書を締めくくることとしたい。