4] 内航海運業界の活性化促進
現在の内航海運業界には3]で述べたような新しい内航輸送システムを運営できる事業者は非常に少ない。
内航海運暫定措置事業が終了し、内航海運業への参入が従来よりも容易になれば他の業界から資本力のある強力な事業者の参入も考えられないことはない。しかし、現状の内航海運は新規参入するほどの魅力に乏しい。したがって、外部からの参入を待つのではなく業界内部から集約・協業化を通じて競争力の強い事業者を生み出すことが必要である。
集約・協業化には、事業者の反発も多いが、アンケートにおいては「いずれは必要になる」という考えを持つ事業者の多いことが示された。事業継続意欲の低い事業者が業界から撤退した後では、リーダーシップのある事業者による集約や船どころぐるみあるいは海運組合単位の協業化もかなり現実味をおびてくるのではないだろうか。
内航海運業界が個人事業者のような生業者ではなく、経営基盤がある程度強固な企業で構成されるようになれば、業界としてのイメージも向上し、環境保全に貢献できる輸送手段としての認知も高まるとともに、荷主との交渉力や若年船員の雇用等の面でもプラスの効果が生じると考えられる。
<競争力のある事業者のイメージ>
・強力なリーダーシップを発揮し、インターネットなど高度の情報ネットワークと多数の支配船舶を有し、他の輸送機関とも密接な連携を図ることにより、荷主に対する企画提案力と交渉力を持つ中核的事業者