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内航海運業の経営内容を貸借対照表から推定すると、貸渡業での自己資本の少なさと長期借入金の多さが特に目立っている。運送業及び貸渡・運送兼業者における長期借入金比率は総資本の30%程度であるが、貸渡業で60%を越えている。また、資産では固定資産の占める割合が大きく、引当権を担保とする借入金に依存した多額の船舶投資が行われているのではないかと推察される(図2-40.)。

 

図2-40. 近畿の内航海運業の経営現況・貸借対照表(アンケート結果)

<貸渡業>

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<運送業>

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<貸渡・運送兼業>

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(注) 各社の金額を合算して平均値を算出(単位:%)

 

3) 内航海運業の経営上の問題点と経営方針

1] 経営上での問題点

これまでに見てきたとおり内航海運事業者の多くは経常赤字と低い自己資本比率に耐えながら事業を行っている。そのような状況をもたらす要因として、多くの事業者は「用船料、運賃の値下り」、「船舶の稼働率の低下」をあげている。

業態別に見ると、貸渡専業者は「用船料の値下り」、「船腹調整事業の解消に伴う資産の目減り」、「所有船舶の稼働率の低下」の順となっており、運送専業者は「運賃の値下り」、「所有船舶の稼働率の低下」、「運賃についての発言力が弱い」の順になっている(図2-41.)。

 

 

 

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