(2)本四間物流システムの展望
1] 本四間での競合激化
将来的には大幅な貨物量の増加を期待することは難しく、四国・淡路側では本州側の物流事業者の参入により、厳しい競争が繰り広げられると考えられる。
一方で、四国・淡路側の荷主は商圏の拡大をビジネスチャンスと搬ており、神戸市内への進出を果たした大型家具店や、在宅患者等を対象とした弁当の宅配事業を開始した例等、新たな事業展開に取り組む例が散見される。また、四国・淡路側の荷主は、商圏の拡大を大きなビジネスチャンスと捉えており、帳期的には貨物量も増加するという見通しを持っ企業も少なくない。
このような四国・淡路側の荷主が本州側に進出することにより、四国・淡路側の物流事業者の本州側への進出の機会は増加するものと考えられる。
さらに、直送の増加により物流経路の合理化が進むこと等も見込まれており、本四間での競合は一層激化するものと考えられる。
2] 企業間連携の必要性増大
アンケート調査では中長期的な物流形態の変化として、混載の増加、物流の共同化の進展、外部委託化の進展といった動きが加速するといった見通しが得られた。
これらは、各社単独の企業努力でできるものではなく、企業間の連携や役割分担というのが往々にして求められるところである。視点を変えると、物流の効率化に向けての取り組みが今後一層強く要請されるということであると考えられる。
四国には地場を活動の中心とする企業が多いことや、それぞれの都市が独立した文化を持つことから、地域間の交流の拡大や取引の拡大に向け、連携を高めるための条件に乏しいといった指摘もある。
しかし、多様化、高度化が進むであろう荷主ニーズに対応していくため、また一層厳しくなることが想定される企業間競争に勝ち残っていくためには、荷主主導のケースも含め、物流事業者の企業間連携の必要性は高まっていくと考えられる。
3] 四国内物流ネットワークの変化
現在、本四間交通の四国側の玄関口は高松となっている。これは、都市間の時間短縮が図られていること、瀬戸内3橋のうち瀬戸大橋が他の2橋に先んじて開通したこと等に加え、高松に厚い都市機能や人口集積があったことから貨物需要が多かったことが要因と考えられる。
そのため、愛媛発、高知発の便は高松を積合せの拠点として本州側への輸送を行っていた。
ところが、明石海峡大橋が開通した後、数は少ないものの、高松発で徳島を積合せ拠点とするルートが設けられたこと等、四国内における物流ネットワークに若干の変化が見られた。
インタビュー調査では今後、四国内の高速道路網整備が進み、愛媛県、高知県と関西圏の最短ルート上に明石海峡大橋が位置づけられた場合、これらの愛媛発、高知発は高松を経由せず、徳島経由で関西圏を結ぶ便が設けられるであろうという見通しが得られた。
4] 物流拠点の再編加速
物流拠点の機能強化及び規模縮小といった動きは、開通直後はあまり見ることができなかった。これらはむしろ中長期的な取り組みと捉えられているようである。物流事業者へのインタビュー調査では、今後本州側では保管機能、配送機能が、四国・淡路側では荷捌き・仕分け機能が重視されるであろうといった見通しが得られた。