V. まとめ
1. 明石海峡大橋開通の影響
(1) 輸送ルートの変化
○大阪府、兵庫県(阪神・淡路間)、徳島県、香川県(高松以東)では本四間輸送のメインルートは明石海峡大橋ルート
○フェリー利用、瀬戸大橋利用から明石海峡大橋への転換
○フェリー航路の再編
アンケート調査では、荷主企業の過半数が、物流事業者の7割弱が明石海峡大橋の開通は本四間の輸送機関や輸送ルートに影響を与えたとしており、明石海峡大橋は、大阪府、兵庫県の阪神地域から淡路地域にかけての地域、徳島県、香川県の局松以東で本四間輸送のメインルートとなっている。
明石海峡大橋の利用者の多くは、フェリーから明石海峡大橋へと転換したものが最も多いが、瀬戸大橋から明石海峡大橋へ転換したものも少なくない。
また、香川県高松市に立地する物流事業者へのインタビューでは、通常はフェリーを利用するが、急ぐ貨物については明石海峡大橋を利用して当日配送を行っているといった例も見られた。
明石海峡大橋がフェリー輸送に与えた影響は大きく、阪神─徳島間が開通前は8往復/日であったものが、すべて廃止されたことに加え、阪神一淡路間でも133往復/日から36往復/日まで減少している。
その他、阪神─高松間でもフェリー事業者数は4社から1社にまで減少していることをはじめ、阪神─高知、阪神─愛媛などの航路でも規模縮小の影響がでており、それ以降も廃止や規模縮小がなされる航路が相次いでいる。
なお、内航輸送についても、貨物の荷姿、輸送形態等の諸条件が陸上輸送とは異なり、フェリー輸送にくらべれば明石海峡大橋の影響は顕在化していないが、航路によっては影響を大きく受けた事業者もある。
(2) 交通利便性増大
○本四間主要都市圏の輸送時間短縮
○当日配送圏の拡大
徳島市と大阪市・神戸市の時間距離は、明石海峡大橋開通前後で約4割短縮されている。また、高松市と大阪市・神戸市の時間距離は、明石海峡大橋開通前後で約2割短縮され、交通の利便性が高まった。
明石海峡大橋開通前は徳島県、香川県と関西圏の貸切輸送において、従来は翌日配送とされていたものが、現在では当日配送に変わったものが増加している。