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b) 旅客船・フェリー乗り場までのパブリック・アクセスの充実

明石海峡大橋を経由する高速バス路線網の整備により、阪神―淡路島・四国間の旅客船・フェリーの利用が減少している。しかし、一定地域においては買い物や通勤などの利用があり、これらの利用者の利便性を向上させ、また、新たな観光需要等の取り込みを図るためにも旅客船・フェリー乗り場までのパブリック・アクセスを充実していくことが重要である。

旅客船・フェリーが利用しにくい理由として、乗船場までのパブリック・アクセスが良くない(乗り換えが多い、アクセス交通の便数が少ないなど)という指摘もある。

c) 主要バス・ターミナルの拡充

高速バスの利用が増加するのに伴い、一方でバス・ターミナルの拡充・整備に対するニーズが発生してきている。

例えば、高速舞子のバス・ターミナルは、特に通勤・通学時間帯では既にキャパシティがいっぱいであると、バス事業者等から指摘されている。また、徳島駅前のバス・ターミナルも、明石海峡大橋開通に合わせて拡充したにもかかわらず、既に高速バス・ターミナル部分のキャパシティは限界であると指摘されている。さらに、三宮周辺においては、バス乗り場が、高速バスのみならず一般路線バスも含めて駅周辺に散在しており、どのバス停からどの方面ヘバスがてているのがが分かりにくいと、バス事業者等から指摘されている。

今後、利用者及び事業者のニーズを把握しながら、行政と民間事業者等関係機関の協力の下、バス利用者の視点に立った整備を行っていくことがもとめられる。

3] 公共交通機関が有する社会的役割への対応

公共交通機関においては、高齢者等の移動制約者等への配慮の視点をもつとともに、災害時のリダンダンシー確保の観点からもその機能の維持がもとめらる。こうした観点から、施設等におけるバリアフリー化と、旅客船・フェリー航路の確保がもとめられる。

a) 施設におけるバリアフリー化の推進

移動制約者をはじめ誰もが快適に利用できる公共交通機関やターミナル施設の整備、バリアフリー化を図っていくことがもとめられる。具体的には、バス停における段差解消や、急な坂道における歩行補助設備の整備、車椅子対応型バス車両の導入、旅客船における段差の解消等が考えられる。

b) 公共交通機関としての旅客船・フェリー航路の維持

明石海峡大橋開通後、旅客船・フェリー事業者の経営環境は極めて厳しいものとなっている。各企業において、人員の大幅削減などの企業努力は続けているものの航路の縮小・廃止も依然として続いている状況である。一方、災害時等におけるリダンダンシー(代替交通・輸送手段、経路)や周辺居住者の買い物、通勤・通学等の日常的利用の観点からも、公共交通機関としての旅客船・フェリーによる航路の確保は重要である。

そのため、観光需要を取り込むなどの企業努力に加えて、地元関係者が一体的に必要な支援を行うなどにより、旅客船・フェリー航路の維持を図っていくことがもとめられる。

 

 

 

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