北東アジアにおける排他的経済水域及び海上境界線画定
白珍鉱
韓国外務部外交安保研究院教授
訳:諏訪部秦正
I はしがき
1. 本論文の目的のために、東アジア地域を地理学上及び海上の境界線画定に関するその他の特性に基づいて北東アジアと東南アジアの2つの領域に大別することとする。現在、北東アジアでは、海上の境界に関して3つの協定が施行されている。1この地域の地勢的特性からすれば、海上の境界を画定するためには、更にいくつかの二国間及び三国間の協定の締結が必要である。しかしながら、洋上の小さな小島をめぐって2つの領土問題、一つは韓国と日本の間の独島(日本語で竹島)を巡る問題、そしてもう一つは、日本と中国の間の尖閣列島(中国名釣魚島)を巡る問題が境界線についての協定の締結を不可能ではないにしても、極めて困難にしている。2
2. しかしながら、最近、2つの情勢の発展によって、北東アジアにおける海上の境界線画定の問題は現実かつ緊急の問題となっている。第1は、1994年11月16日に、1982年海洋法条約が、同条約の深海底の部分を改訂するために作られた1994年協定(施行協定)の暫定適用と共に発効した。その結果、北東アジアの沿岸諸国は、国内手続きを経て、あるいは国内手続き中であるが、同条約を批准することとなっている。更に、施行条約の下に、海洋法条約の第2決議を受けて、深海底開発に関して先進出資国として指定された中国、日本及び韓国は、特権を有する先進国としてその地位を維持するため1996年11月16日までに同条約の加盟国となる必要がある。3同条約の批准は、沿岸諸国に自国の海洋関連法令を改正し、海洋法条約に対応して法令を施行し、可能な場合には、未解決のあるいは潜在的な海洋をめぐる紛争の解決への試みにはずみを与えることとなる。
3. 第2に、主として自国沿岸で外国漁船の漁獲が増大することへの懸念から、日本と韓国が永年の懸案であった排他的経済水域(EEZ)設定を決定したことである。41996年2月20日、日本はEEZの公布についての決定を発表したが、韓国も直ちに同様の措置でこれに追従した。中国も同様の措置を執るものと考えられる。北東アジアの海洋は、どこをとっても対岸までの距離が400マイル以下であるため、沿岸国が200マイル海域を設定する場合、境界線の画定は避けられない。