第3巻
この巻には、米国海軍の思想、中東に至るシーレーン全体の把握に関する論文、さらに、海洋地政学の入門的な書きおろし論文を収録しました。
第20論文は、米国海軍作戦部長のジェイ・ジョンソン大将の1997年の論文「21世紀米国海軍の作戦コンセプト」です。この論文は、1994年に発表された米海軍戦略文書“Forward...From the Sea”を最高指揮官が肉付けしたもので注目されます。
第21論文は、米国海軍情報部の若手論客ダニエル・カルターが1997年11月に東京で発表し、現在、日米のみならずアジア各国で大きな論議を呼んでいる「SLOC防衛の経済学の過大評価をただす」です。併せて、山本誠元自衛艦隊司令官・海将の「カルター論文への反論コメント」を掲載しました。
第22論文は、現在東京の米国大使館に勤務するケント・カルダー氏の「アジアと中東を結ぶ脆弱なシーレーン」です。この論文は、アジアの燃料枯渇により、中東への石油依存がますます高まることで、将来予想されるシーレーンの緊張がどのようなものかを論じています。この論文は、Foreign Affairs誌(1996年3月号:通巻第75-2)に原題「アジアの枯渇燃料倉」として掲載されました。第23、24論文は、日本が将来歩むべき道を考える上で、知っておくべき海洋地政学の入門と応用知識を概説した論文で、平間洋一防衛大学教授の書きおろし原稿です。「日本の選択:海洋地政学入門」は、海軍力に関する諸外国の事例を解説し、「日本の選択:海洋地政学の教訓」は、地政学の論理と国際政治に関する応用問題を論じた論文です。
おわりに
1年間の研究期間には、この他にも多数の論文が執筆、翻訳されました。その中から比較的、多くの読者を得るであろう論文24編を選択し、印刷・配布いたします。これらの冊子が、海に囲まれた日本の将来を真剣に考える国会議員、マスコミ、官庁関係者、学者、一般の皆様の参考になれば幸いです。
最後になりますが、過去1年間、この研究事業を助成され、さらに98年4月以降も1年間の助成を決定された日本財団の皆様には深く感謝いたします。
連絡先
なお、紙幅の関係や、英語で書かれているために、今回、印刷されなかった論文は、将来、岡崎研究所のホームページに掲載する計画があります。ホームページはGLOCOM国際大学のURLにアドレスがあります。
http://www.glocomnet.or.jp/okazaki-inst/okazaki-jap.html
なお、ご質問等ございましたら、下記へお問い合わせ下さい。
国際経済政策調査会 mm02-psg@kt.rim.or.jp 加藤周二/益田昌子
岡崎研究所 zip@st.rim.or.jp 小川彰/中島邦子
国際経済政策調査会 電話:+81-3-3593-0005 FAX:+81-3-3592-0005
岡崎研究所 電話:+81-3-3233-6311 FAX:+81-3-3233-6311
1998年3月
国際経済政策調査会
「公海の自由航行」プロジェクト事務局