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委員長謝辞

川村純彦

 

この2冊の報告書をもって3年間にわたる研究・啓蒙事業「うみのプロジェクト」は終了しました。この事業を3年前に始めたときはどう取り組むべきか見当がつきませんでした。いまになってわかるのですが、うみの問題は本当に広くて深いのです。どんな方向にも進むことができるのです。

3年間を振り返るとき、道に迷わずにここまで来られたのは、安全保障分野を事業の基軸に据えたことにあったと思います。外交のプロや海上自衛隊OBが中核になって始めた事業なので、安全保障が中心課題となったのは当然かも知れません(資料1)。問題意識の中心がしっかり定まっていたので、3年間に環境、資源、国際海洋法、海賊の話題が飛び出しても、道に迷うことはありませんでした。

多くの方をお招きしてお話をうかがいましたが、総花的な議論に流れずにすんだのは、「これがわれわれの強みだ」という絶対的なコアをわれわれが持っていたからでしょう。他分野の専門家をお招きしたときも、先方にもメリットがあらばこそ、1回限りのご高説拝聴におわらずに、ネットワークが広がっていったのだと思います。

この3年間ご支援いただいた日本財団に感謝申し上げたいのは、平成9年度にハワイ、平成10年度にオーストラリア、平成11年度にマニラとハワイヘ調査団を派遣し、アジア太平洋の一流の海洋専門家とのネットワークを構築させていただいたことです。

わたしたちの研究グループは、その間、日本財団補助事業とは別に、韓国、台湾、マレーシアなどの研究者と会議を開催しましたが、日本財団補助事業はアジア諸国の専門家とのネットワーク形成に大変に役立ちました。

これまでの成果は、「うみのバイブル」シリーズとして配布、ホームページに掲載しております。ここで改めてご紹介しますと、最初の年の成果をまとめたのが、「うみのバイブル第1巻〜第3巻」で、第2年度の成果をまとめたものが「第4巻〜5巻」です。今年の「うみのバイブル2000」は「第6巻〜第7巻」になります。(資料2)

最後になりますが、このプロジェクトの受け皿となり、わたしどものチームに自由な研究をお許しいただいた社団法人国際経済政策調査会の椎名素夫理事長、さまざまなご支援をたまわりました岡崎研究所の岡崎久彦所長に深く感謝いたします。調査会の加藤周二理事には毎回の研究会や海外調査にもご参加いただきました。また、日本財団との事務手続では調査会の高橋佑(たすく)常務理事、櫻井雍子(やすこ)氏、益田昌子氏にひとかたならぬお世話になりました。岡崎研究所には協力団体として研究委員会開催のロジ等をお願いしましたが、小川彰主任研究員には報告書の編集と議事録のリライトをお願いしました。最初の2年間を鈴木(中島(旧姓))邦子研究員(現政策研究大学院大学RA)が担当され、同研究員が慶応大学大学院博士課程に移られてからは、原田昌子氏の献身的な作業に支えられました。鈴木氏には、「うみのバイブル2000」の第1章〜第11章の校正をお願いしました。また、研究所インターンの斉藤洋氏(早稲田大学)には3年間にわたり雑務の一切をお願いしました。すべての速記は丹羽清隆氏が担当しました。これらのみなさまのご援助なしには、この事業にはここに見るような見るべき発展はなかったと思います。

 

 

 

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