せっかくなので本土でも放映してほしかったが、本土のネットワークは一切何の興味も示してくれなかったということで終わってしまいました。
26:東シナ海海底の地殻図
[東シナ海海底の地殻図] これはその時につくったパネルですが、これは木村先生が海洋調査をやっていくと、尖閣列島はもちろん、沖縄、南西諸島の下にある地質構造は大陸性の地殻であって、海洋性の地殻ではない。そのさらに下に海洋性の地殻があるということです。これを拡大するとこうなります[前図の拡大図]。つまり東シナ海の大陸棚は、沖縄を通り越して太平洋で急速に深くなっている。したがって、深くなる切れ目のところまで大陸の地殻であるということですね。
[日本列島が大陸と陸続きになっている古代の想定図] それに基づいてつくった地図がこの地図で、陸続きであったということですね。日本列島ももちろんかつては陸続きだったけれど、それが地殻変動で水没して、日本列島及び南西諸島ができ、日本海ができ、東シナ海ができたということです。これでおわかりのように、黄河の河口が五島列島あたりになる。そして揚子江の河口が沖縄列島のちょっと先になるということですね。台湾とは陸続きである。尖閣列島(魚釣島)は大陸に近いところにあった。そしてこの部分が陥没した。ここがちょうど沖縄トラフに相当するわけで、木村先生は、沖縄トラフというのは要するに大陸の非常に大きな水たまりと考えればいいです、と言っているわけです。したがって日本側に主張する権利がある。だから主張しなければ駄目です。そういう前提からすると、南西諸島の島を起点として大陸との間で中間線を引くことができる。
27:日本側は日中中間線という考え方をはっきり言うべきだ
そういう食い違いがあるわけで、日本側は日中中間線という考え方に立っていながら、それを公にしない。実際に公にしてこなかったのですね。海洋法条約を批准するまでは、そういうことを公にすることを非常に嫌ったわけです。私はくどいほど海上保安庁とか外務省に行って、いったい中間線はどこに引かれるんだと執拗に聞いたんですが、海上保安庁からも外務省からも怒られました。要するにそんなものはないんだ、というんですね。「なんのためにそんなことを知りたいんだ」という。私は、「ここで行なわれている活動が、向こう側でやっているのか、こちら側に入り込んでいないのかということを、新聞で報道するためには確認しなければなりませんから、それを知りたい」と言って、海上保安庁の水路部と外務省の中国課に行って執拗にやったんだけれど、「そんなものは一切ない」というのが答えだったんです。「そんなはずはない」と言ったら、「あなたは知ってどうするんだ」といって、両方からどやされました。
私は名刺を出して、大学の先生で、これこれこういうことでこういうことをやっているといって、自分の書いたものを一部持っていって、こういう人間であると言ったんだけれど、なんのためにそういうことを知りたいのか、知ってどうするのかということで、両方から撃退されました。