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12:日本が目を覚ます2005年

 

大内 それから、いまの質問に対するお答えですが、小川さんからも、ご自分でお願いします。

小川 いま川村さんが群島理論についておっしゃったのは、政策と国際法のどっちを優越させるかという設問にもなるかと思いますが、もちろん政策です。どんなに国際法上で主張が可能であっても、それによって、海域の平和と安定を維持する実力をもった米海軍を締め出すことになり、その結果、国が滅びてしまっては元も子もない。群島理論は、国際法学者が扱うべき問題というよりは政策の問題じゃないですかと申し上げまして、皆さんも異存がなかったんです。

それから、ディナーの時に、私から申し上げたのは、この1年国際情勢が大きく変化したが、特に日本が大きく変わってきたということです。1998年8月のテポドンの発射以来、日本の世論や政治がどのように変化してきたかという話をしまして、今まで「日本ファクター」はこの地域の海の安定において存在感がなかったけれども、どうもこの1年を見ると変わりつつあるのではないか、と指摘しました。「日本は1945年にベッドに入ってからもう55年近く寝た切りですが、部屋の中も騒がしく、あと5年もすると目がパッチリ覚めるんじゃないか」という話をしました。みんなノートを取っていました。「ただ、今のところはまだはっきり目が覚めていない。ただ、部屋の中が非常にやかましいものですから、起きるかなといいながら、寝言をぶつぶつ言っている。その寝言は、深層心理の中での過去の栄光とか過去の罪とか、あらゆるものがからまったものなので、どうか皆さん、フロイド流の深層心理のテクニックを使って、日本がぶつぶつ言っていることを分析してください」と申し上げました。「日本ファクター」が5年ぐらいするととても重要になる、ということを申し上げたのです。そうしたらみなさんからは、「非常に元気な日本人が一人ならず二人来た」というので、「おう、日本は変わりつつあるんだ」という認識を持っていただいたようです。

(注:“Emerging Japan: Changes and Consequences”という15分のスピーチをしました。これは、1999年10月4-5日に箱根で開催された別の国際会議に提出した論文 “Japan: the Forgotten Factor in Shaping Northeast Asia in the 21st Century”を要約したものです。http://www.glocomnet.or.jp/okazaki-inst/ 参照)

日本財団 その一連のお二人の議論に関して、なんらかの具体的な反応は?

小川 具体的な意見は、「そうなんだ。それを待っていた。日本が動くのを待っているぞ」というようなものです。

日本財団 それはどこからきたんですか。

小川 インドネシア、タイ、それからフィリピンの参加者からです。「もっと日本に大きな役割を持ってほしいと思っている」と。その先は、私はあまり同意しないんですが、「アメリカは横暴だから日本にもっとがんばってもらいたい、われわれはアジア人じゃないか」という議論でした。

 

 

 

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