加藤 国際経済の議論でいうと、明らかに食糧の余剰生産力があるわけですね。それはお金さえ持っていればいいと。
唯是 それは、ある時代はそういうことで、今はそういう議論ではなくて、逆に農業というのは、いつ何時輸入がストップしてしまうかもわからないという議論があって、最低の栄養を守るための安全保障といいます。それから最近は環境ですね。農業というのは環境を維持するのに非常に役立っている。だから環境を維持するための農業というのが、仮に高くついても守って行かなくてはならないという。いまはその方が強い。だからオーストラリアの食糧がどんなに安くても、日本の農業を守るために入れない。しかも、もっと言われるのは、外国では日本が規制している農薬をどんどん使っている。本当かどうか別ですけれどね。だからそんなものは食べられないという。だいたいそのあたりです。
要するに、アメリカでやって日本に入ってきた。農薬汚染と同じ感覚で反対しているんです。もっとも、アメリカも許可するのが早過ぎたと思うんですね。なぜかというと、あれは農薬フリーの大豆だけなんですね。他の雑草を殺すために農薬を撒く。大豆は農薬フリーかもしれないけれど、その土地は農薬で汚染されているわけです。そういうレベルのものは本格的な問題解決ではないと思うんです。われわれの抱えている環境問題の解決ではない。とにかく、金さえあれば食べていけるんだというのは消費者運動にはないですね。
加藤 消費者運動ではなくて、〈…聞き取れず…〉。
25:タイムスパンの問題
唯是 それは企業との、タイムスパンの問題を間違ったんじゃないですか。エネルギーが不足しているという問題は、もっと長いタイムスパンの問題であって、それを単に現在に置き換えたという問題ではないですか。
加藤 最期は価格メカニズムに戻って必要なものは出てくるということはエネルギーのときに学んだことなんです。食糧の場合は、安全とか、いろいろな要素がある。
唯是 もっとタイムスパンを延ばした場合にどうなるかわからないけれど、短期的にはないです。僕も価格メカニズムは推奨しているんです。最初に言ったように自由化論者なんです。