16:掘らないで置いておけばそれが即備蓄になるのでは?
山本 中国は産油国ですから、やろうと思ったら、アメリカがやっているようにすればいいんじゃないんですか? 石油の輸出を縮小してそれを備蓄にする。自分のところを掘らないで置いておけばそれが即備蓄になる。
十市 それは長期的な話ですね。そうではなくて、中東から油を買っているのが、突然にストップしたときの話です。
山本 中国は輸出をしているわけでしょう。
十市 輸出はしていますが、輸入の方が多いので、ネットでは輸入です。
山本 ですから、わたしが申し上げたのは、その輸出をぐっと減らす。わざわざ日本みたいに備蓄タンクを作らなくても、地元に眠っている資源を備蓄として使えば良い。
十市 タンクに備蓄してあれば、短期間でものすごい量をボーンと出せます。でも、原油の場合はそうはいかない。生産には時間がかかる。
山本 アメリカは使わないで置いていますね。
曽我 置いてあるとおっしゃるのは。
山本 埋蔵しているやつを、掘らずにいる。
十市 あれは、経済的に意味を持ちませんから、クローズしたんです。しかもこれはもう永久に使えなくなっちゃう。
山本 いざとなったら掘ればいいんでしょう。
十市 それは、そうはいかないんです。
17:自分のことだけ考えてオペレーションする中国
秋元 中国には、中東石油と自国生産石油との設備の区分けがあるのですか。中東石油の原油の質によって工場とかの設備は違うわけですか。
十市 それは曽我が詳しいですけれども、中国はローサル原油が中心です。ある程度は国内原油が処理できないと問題でしょう。ところが中東からこれが入ってきますと、どうなるか。今はとりあえず国内の原油と中東原油を混ぜてなんとかしのいでいますが、今後造る新しいリファイナリーでは、中東原油を処理できないといけない。
曽我 おっしゃる通りです。すこし長くなりますが説明しますと、例えばオマーン原油からはサルファー0.5%ぐらいの軽油が採れる。実は、中国には二次処理設備がないので、0.5%サルファーの原油が大量に必要なのです。そこで、中国は、オマーン原油をよく買うんです。その結果、価格がはねあがる。このオマーン原油は基準原油のひとつでして、「ドバイとオマーン」が価格を形成する基準原油になっている。中国が買うものだから、全体の価格が高くなるという問題が指摘されているほどに、中国は自分のことだけ考えてオペレーションするところがある。
メインはいま十市さんが申し上げましたようなことで、大慶原油ベースのそういう原油を処理しています。ミナースとかそういうものを、バクホとか、そういう似ているものを自分の製油設備に持ち込んで処理するという傾向があります。