私が日本財団に要望したいのは、沖縄もハワイのように戦略的に非常に重要な地域でありますので、是非沖縄にシンクタンクをつくっていただきたい。例えばハワイにはPacific Forum CSISがある。これは権威あるシンクタンクCSISの支所みたいなものです。それから、East-West Center がある。さらに、Asia-Pacific Center for Strategic Studiesもある。海外調査報告を読みまして、ハワイと沖縄の落差をあらためて実感させられた気がします。
さっきも、加藤さんと話していたんですけれど、いま皆さんと集まってこうして話していますが、こういったミーティングをちょっと格上げして、シンクタンクみたいにしていただく。そして沖縄にその支所みたいなものを出していただきたいと思います。
金が足りなければ私が地元の企業から集めてきます。説得すればなんとか金は集められましょう。海洋問題に関心が深い日本財団の頭脳と資金が応援してくれたら、かなりのものができるのではないでしょうか。
74:プエルトリコ繁栄の大前提はナショナル・セキュリティ
沖縄には3年前からフリートレード・ゾーンをつくる構想がありまして、それを言いだした時に、私は、アメリカやプエルトリコへ行って調査をしたんです。その時感じたことは、日本の学者は「人、もの、金」が集まると栄えると言っているんだけれども、それは正しくない。やはり大前提はナショナル・セキュリティだと思うんです。
その国家安全保障をどう維持するかというのは国家の主体だと思います。平松先生の言われたように、いまのわが日本には国家の主体がない。また戦後世代は日米安保というぬるま湯にあまりにも浸かってしまい、国の根幹を忘れている。ですから国際経済政策調査会や岡崎研究所もどんどん国民にそういったものを啓蒙し警鐘を鳴らしてほしいと思っております。
75:沖縄の中国幻想
私どもは沖縄におりますので、中国の脅威をひしひしと感じております。昨今の沖縄近海における中国艦艇の動きも然りです。しかし、幻想を持っている者が少なくないのです。私の本が6月に出ると思いますが、沖縄では、琉球王朝を独立国だったみたいに言っているのだけれども、実質的には中国の間接支配に入っていた。その結果、沖縄がどんなに明治維新に乗り遅れたかということを詳細なデータをもって書いてあります。この本によって、沖縄県民の中国幻想も少しは変わると思います。そういったものも含めて、先生方のいろいろなご支援を仰ぎたいと思っております。とりとめのない話ですがよろしくお願いします。また日本財団にもそういったことを強く要望したいと思っております。