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大内先生が、欧米の国際法は日本と違ってポリシー・オリエンテッド・アプローチであり、日本はどちらかというと実定法主義だと言っておられたのが、私には、非常に印象的でした。欧米型では、外交政策がまずあって、それから国際法の伝統的原則があって、それをポリシーに適用させていく方法をとると先生は言われました。

「日本もやはりこれで行くべきではないか」と私は思います。海洋における自由航行を維持することがわが国にとって死活的に重要であるということを基本に据え、そこから政策を立て、積極的にアプローチしていくことが重要だと思います。

そのためには、政府レベルだけではなく、比較的自由にものが言えるトラック2の組織的な活動が必要であり、活動の母体となる「海洋研究ネットワーク」といった組織を立ち上げ、先ほども大内先生に言われましたポリシー・オリエンテッド・アプローチにより、日本の考え方を国内外に積極的に発信していく。このことの重要性を痛感しているところであります。以上です。(拍手)

 

川村 どうもありがとうございました。平間さんよろしゅうございますか。

 

71:海洋に関する文化講座や市民講座の開催

 

平間 山本さんのまとめには皆さん同様に賛同いたします。ところで、次元が異なる発言になって恐縮ですが、さきほど秋元さんが、せっかく3年間勉強した蓄積を発信したいが、「海洋問題は発信する場所が本当に限定されている」、だから、「知識を啓蒙普及できる場所を提供していただけたら非常にありがたい」という発言をされましたが、まったくその通りだと思います。

海洋に関する文化講座や市民講座の開催はやるべきですね。例えば、笹島さんが来ておられますが、読売新聞がこういう海洋問題の市民講座や文化講座をやっていただければ、国際経済政策調査会・岡崎研究所がやってきたこの「海のネットワーク」には、非常に素晴らしいたくさんの講師がおります。日本は海洋国家なんですから、新聞社には、海というテーマを是非あつかっていただきたい。必要なのは国民の啓蒙です。そういうことが来年度できるといいなと思います。この中には地方自治体に力のある方もおられるかも知れませんが、是非、このような講座を企画していただきたい。

今後の問題でございますが、海というのが大変広いテーマですので、それを束ねて総合するという大変に難しい仕事にチャレンジしたい。これについては、過去3年に内外に広がったネットワークを大切にしていくことが基本です。国際経済政策調査会と岡崎研究所の中にネットワーク委員会を設けて、各分野から次々と企画を計画する。そんなことをされたらどうかなと思います。それがまた活性化につながっていくのではないでしょうか。

 

 

 

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