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録音当日の講義室の雰囲気は生徒数を5名程度にして、アットホームにしました。その人数なら質疑の時間に全員が質問できるし、討論もはずむからです。そして、「生徒」も、実はそれぞれが何らかの分野の専門家なのです。たとえば、わたくし川村純彦(川村研究所所長)は、元海上自衛隊海将補で安全保障やミサイルの専門家です。秋元一峰さんは、防衛研究所主任研究員で米国の海洋戦略や海洋管理の専門家です。高瀬鴻(ひとし)さんは元日本郵船調査部長で現在は日本海運研究所評議員ですが、海運や保険の専門家です。加藤周二さん(国際経済政策調査会理事)は元通産省参事官で経済が強みです。平間洋一さんは歴史学者で日英同盟の専門家で元防衛大学校教授です。

生徒が5人といったのは、およその数で、ときには8人になったり9人になることもありますが、10人をこえることはありませんでした。どんな先生を招いたかは目次を参照していただきたいと思いますが、1] 環境について、山内康英・国際大学グローバル・コミュニケーション・センター教授、2] 世界海運が直面する諸問題について、高瀬鴻・元日本郵船調査部長、3] 新しい国際海洋法の思想とオーシャン・ガバナンスについて、布施勉・横浜市立大学教授、4] 海洋資源とりわけ石油資源について、十市勉・(財)日本エネルギー経済研究所理事と、曽我正美・同主任研究員、5] 漁業資源について、唯是康彦教授・千葉経済大学教授、6] 国際法とアジアの海洋研究組織について、大内和臣・中央大学教授、7] 中国の海洋進出については、平松茂雄・杏林大学教授の各先生にお話をうががいました。高瀬鴻先生の場合は、時に生徒であり、講師であったという例です。

 

広くて深いうみの問題

 

この1年は実に楽しい経験をさせていただきました。うみの問題は、本当に広くて深いというのがメンバーの実感です。そして、講師の先生がたには、講義と別に論文を提出していただきました。講義に即した論文である場合と、別のテーマになった場合がありますが、ジャーナリストや政策立案にたずさわる官僚・学者の皆様には、便利なレファレンスマテリアルとなるように執筆していただきました。

そして、さきほど申しましたが、7回の講義が全て終了したあと、これまでの講師の先生、マスコミ、官僚、学者をまねき、シンポジウムを開催したのです。1年間の勉強の後を振り返ると同時に、日本の海洋政策のあるべき姿を議論しました。この記録を議事録の冒頭にエグゼキュティブ・サマリー(「早分かり編」)として掲載いたしましたことは先に述べたとおりです。

 

 

 

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