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できあがった報告書は大部になりましたが、「誰に」「どのように」読んでもらいたいか。そして、「どんなことを考えていただきたいか」を次に述べます。

まず、読んでいただきたいのは政治家の皆さんです。この研究会にも若手国会議員の方に参加していだだきましたが、わが国の海洋問題への取り組みの現状と問題点の把握をしていただき、総合的な海洋政策立案の参考としていただければと思います。つぎに、政策立案者にお願いしたいことですが、総合的な見地からの問題の把握と海洋政策の立案の参考にしていただきたいという点に加えて、この冊子にも示しましたが、研究者のネットワークを大いに活用し、詳細かつ最新の情報の収集に当たっていただきたい。マスコミの方には、問題点の本質の把握と、国民啓蒙のための情報収集と、この冊子で紹介した専門家ネットワーク利用による詳細な情報収集をお願いしたい。研究者の皆様には、ネットワークの利用による情報交換と詳細情報の収集をお願いしたいと思います。

さて、3年間の研究を終了して、われわれが何を提言するかでありますが、下記のように委員長としてまとめてみました。

 

提言

 

わが国はその生存と繁栄を海に依存する海洋国家である。しかし、海洋国家日本に確たる海洋政策は見当たらない。海洋に関連する問題は、船舶の安全通航、乗員の養成、港湾施設、漁業、海洋資源開発、環境、海賊対策、海洋法条約、安全保障など、さまざまな問題が密接にからみあい、省庁間の枠ではとらえられない広さと深さを有している。すなわち、省庁間を横断する総合的対処が必要とされている問題である。

わが国が長期的観点にたって総合的な海洋政策を策定し推進するために政府内に政策策定および関係省庁との調整を実施する何らかのメカニズムを設置することが不可欠である。これまでの研究成果から、現在われわれが提言することができるのは、それら業務を支援するための常設調査研究機関の開設と、それを中心とする国内外のネットワーク作りであり、これこそが問題解決の糸口となりうるであろう。

2000年3月1日

公海の自由航行に関する普及啓蒙事業プロジェクト

委員長 川村純彦

 

 

 

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