また周遊観光の可能性の高い公共交通機関利用者を増加させ、地域的な観光促進にも貢献しうると考えられる。
人々の自由意志に基づく観光行動では、観光対象の選択は必ずしも距離的な近さだけではなく、移動の容易さ、便利さも重要な決定要因となる場合があり、交通の果たす役割は大きい*32。観光行動では、交通は決して補足的な要素ではなく、行動全体の印象をも左右する重要な要素である。中でも観客の過半数が利用する車の問題は、今後も重要な課題の一つである。
本稿では、観光と交通について様々な視点から考察してきたが、あくまでも筆者が行った質問票調査の結果に基づくものであり、早急な一般化が危険であることは言うまでもない。今後、本稿で用いた質問項目の再検討や他の集客施設での調査によって、より精緻化された研究が必要であろう。
*32 観光対象の魅力が重要であることは言うまでもない。またMcClung(1991)は、子供の存在も目的地選択において重要な要素であると指摘している。