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なお、日本からの主催旅行業者が海外で現地法人を代理して旅行者と契約を締結した場合や現地法人がオプショナルツアーを主催し、日本の旅行業者又は日本にある者が申し込みを受け手配する契約を成立させた場合は、これらの行為を旅行業務と捉えれば同様の理由で、旅行業法の規制の対象とすることも可能である。しかし、これらの行為を旅行業務と捉えるためには、現地法人が日本の旅行業法でいう旅行業者とされなければならない。さらに、現地法人を旅行業者であると解釈できるなら、現地法人自身が、オプショナルツアーの申込みを受け、契約を締結させた場合も旅行業法の規制の対象とすることができる。

この現地法人を旅行業者と捉える考え方を理由付けるには、国家は、外国人(現地法人:筆者注)の国外行為について、国内社会の健全な進行と秩序を維持する必要のある限り、積極的属人主義・属地主義以外の基準を用いて「真正の連関」を設定し、立法管轄権の対象となしうる*4-5という主張に基づかなければならない。この場合、旅行業法の規制の対象となるが現地法人に登録の必要がないのは、執行管轄権がないためとなる。

しかし、このように考えると、オプショナルツアーのみならず日本人旅行者が関係する外国の旅行会社はすべて日本の旅行業法の対象となる余地が生まれ、旅行者保護のためとはいえ無理がある解釈といわざるを得ない。

 

第5章 まとめ

 

日本旅行業協会本部が、平成10年度に受け付けた苦情・相談の4714件のうち、「地上手配に係る条件変更」は591件、「現地ガイド」は49件であった*5-1。申し出区分でオプショナルツアーの項目がないので、このうちどれだけがオプショナルツアーに係わっているかは定かではないが、主たる旅行もオプショナルツアーも現地法人において手配がなされることがほとんどであるから、オプショナルツアーにおいても条件変更やガイドに対するクレームが生じている例が相当数あることは確かである。

現行の旅行業法・標準旅行業約款は、オプショナルツアーは日本からの主催旅行業者が自ら実施するもので、オプショナルツアーのみを現地法人が主催するとは予想していなかったと思える。

主催旅行を実施する旅行業者の立場からは、自らオプショナルツアーを主催すれば主催旅行約款の規定に縛られる。主催旅行約款を用いれば取消料の規定などで現地の慣習に一致しないことがあり手配が困難になることもあろう。したがって、現地法人の主催にして主催旅行約款の適用を逃れようと意図しても非難できない。

日本からの主催旅行業者が、オプショナルツアーを主催したとしても手配については、直接海外の地上手配をすることはほとんどあり得ない。

 

*4-5 山本 前掲書 245頁

 

*5-1 JATA NEWS LETTER 1999年6月21日号 Vol.660 11頁

 

 

 

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