これは、通達平成8年2月9日運観旅第73号「主催旅行に関する広告の表示基準等について」で、「オプショナルツアーの主催者が主催旅行業者と異なる場合にあっては、その旨」等を表示すべき事項としているためである。ちなみに、この内容をもつ通達が出されたのは、平成4年5月25日運観旅第523号の同名の通達で、これ以前のパンフレットを検証してみると、現在は現地法人の主催となっている同じ内容のオプショナルツアーにおいて主催者名は記載されていなかった*3-4。なお、パンフレットに主催者を記載していない場合は、日本からの主催旅行業者自身による主催と考えてよいことになる*3-5。
海外においての地上手配は、現地法人を手配代行者として手配する場合が大部分を占める。この現地法人は、添乗員が同行しない場合に、旅程管理業務も委託される。オプショナルツアーは日本からの主催旅行の手配代行者として委託した同じ現地法人が主催することも多い。この場合、現地におけるオプショナルツアーの新たな募集業務は、現地法人のガイド等によりなされるのであるが、当該業務を現地法人が、日本からの主催旅行業者の代行者として行っているのか、日本からの主催旅行業者の係わらない現地法人の独立した業務として行っているのかが、はたして旅行先において明確に案内されているかの疑問は残る。
2. 日本からの主催旅行業者がオプショナルツアーの主催者の場合
オプショナルツアーの主催者が、日本からの主催旅行業者と同じである場合は、オプショナルツアーは、当該主催旅行業者の実施するひとつの主催旅行と考えられる。そのため主催旅行約款第1条第1項により、旅行者はそのオプショナルツアーの旅行契約を締結する場合には、当該旅行業者との間で主催旅行約款の定めにより主催旅行契約を締結することになる。
なお、次章で詳述するように、旅行業法の適用は日本の国外には及ばない、と考えられている。したがって、日本国外で契約が締結される場合は、旅行業法の規定により定められた旅行業約款に基づかなくともよいと考えることもできる。しかし、旅行業約款の設定は、旅行業法の要請によるものであるとしても、約款自体は独立しているものである。ゆえに、主催旅行約款第1条第1項に、主催旅行契約は主催旅行約款によると定めている以上、日本国外で旅行業法が適用されるか否かを問わず、当該オプショナルツアーの旅行契約は、主催旅行約款に其づいて契約される*3-6。
*3-4 「L00K JTB 1991年4月〜1992年3月東京発中近東・アフリカ・インド・中南米・ソ連」と「L00K JTB 1999年4月〜2000年3月大阪発トルコ・アフリカ・インド・メキシコ・南米」に記載のオプショナルツアーを検証してみた。
*3-5 神戸弁護士会消費者保護委員会旅行業約款部会編『旅行トラブルQ&A』1994年神戸弁護士会 50頁
*3-6 主催旅行約款第24条第4項からも日本からの主催旅行業者がオプショナルツアーを実施する場合は、当該日本からの主催旅行業者がオプショナルツアーの主催旅行業者であると考えられる。