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消費者向けには、新聞、旅行雑誌へ広告掲載を実施した。系列の旅行会社向けには、札幌市、富良野市、網走市と共同でイメージ浸透と商品化を促進するレセプションを実施した。

しかし、1999年1月から3月は、かまくら、雪灯籠等を使い「冬のシリーズ」というイメージ・キャンペーンに切り替えたが、プロモーションの手法は前回を踏襲した。

 

III. マーケティング戦略の視点による分析

 

1995年から4年間に及ぶ北海道のデスティネーション・マーケティングの展開を分析すると、NTOの海外事務所である日本観光協会台湾事務所、デスティネーションを地元とする道観連、日台のアクセスを握る航空会社等の観光組織のうち、唯ひとつの観光組織が統括的なマーケティング戦略を策定し、その実施を統括してきたわけではなかった。

しかしながら、台湾人客の北海道への来訪は急増し、季節別では夏季や秋季、地域別では道東への来訪人数が目立って伸びた。結果的には、台湾マーケットに対するデスティネーション・マーケティングが機能したかのように見える。

マーケティング戦略の5つの要素から、日本と台湾の数多くの観光組織が実施したマーケティング活動を包括的に分析することとする(表5)。

 

表5 北海道のマーケティング戦略実施の経緯

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1. ターゲット・マーケットの選定

誘客の対象とすべきマーケットについては、立場の違いはあるが、どの観光組織も特別に意識して選定しなかったと思われる。台湾マーケットでは、日本は人気デスティネーションとして確立しており、量の差こそあれ、航空会社や旅行会社は長年日本への旅行商品を取り扱ってきた。そのため、これら民間企業は、北海道への旅行商品が、新たなマーケットの開拓を必要とせず、従来の主力商品であるパッケージツアーが最も売れ筋商品となることが、ほぼ直観的に理解できるからである。旅行会社は、既に訪日経験のある顧客に北海道ツアーを売り込むだけでいいのである。日本観光協会台湾事務所も同様な考え方で、選定の過程をほとんど省略した。

 

 

 

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