ご挨拶
財団法人 アジア太平洋観光交流センター
理事長 山下哲郎
財団法人アジア太平洋観光交流センターによる「観光に関する学術研究論文」募集は、今回で早くも5回目を迎えました。
当財団は、世界観光機関(WTO)アジア太平洋事務所の活動支援および我が国とアジア太平洋地域の観光交流促進、観光振興にかかわる各種の事業を展開してきております。この学術振興事業もその重要な柱として位置付けております。
今回も多くの力作が寄せられ、年々レベルの高さが定着してきた感があります。今年の特色は、大学や大学院の研究者ばかりでなく、政府観光機関、旅行会社、旅行業界誌、設計事務所等様々な分野の方々の応募、入選により、これまで以上に広がりのある事業の色合いを濃くしてきたことにあると思います。また、テーマも旅行行動形態、政策研究、国際観光、マーケティング論、観光が与える影響、具体事例の検証など非常に幅広く、実証的で密度の高い作品が多数寄せられたことです。
WTOの発表によると1998年の世界の国際観光は、国際観光客数が6.35億人(対前年比2.5%増)、国際観光収入(国際線運賃収入は除く)が4,390億米ドル(同0.3%増)にとどまりましたが、長期的には順調に成長することが期待されております。このような中で21世紀を目前にして、我が国においては、歴史的文化遺産保全、環境保全との調和のとれた観光開発や観光振興が、経済活性化、地域振興の面からますます重要視され、そのための理論的バックボーン、実践的アプローチとしても観光学の確立、発展が望まれています。
観光学は学問としては未だ発展途上であり、その裾野は、様々な学問に亘っていますが、当財団の「観光に関する学術研究論文」事業が、観光学の構築と発展の一助となることを祈りつつ、今後もこの事業を育成していきたいと考えております。
今回入賞された方々に心よりお祝いを申しあげますとともに惜しくも入賞を逃された皆様方にも、ご多忙の中、力作をお寄せいただきましたことに深謝申しあげます。
最後になりましたが、本事業をご支援いただいている日本財団に対し、厚くお礼申しあげます。