例えばお客様が増えることによって今まではすごくすいていた道が渋滞するかもしれない。お金は落としてくれずにゴミだけ残すかもしれない。だから100すべてが、いいことはないのです。60ぐらいはいいことがあっても、40ぐらいは悪いことがやはりあるということも覚悟して、それでもお客様に来てほしいのでしょうかということがすごく重要です。つまり、本気でお客様を迎える気持ちがあるかどうかです。
どうしてこんなことを言うかというと、よくお客様とお話をしていると、その街が本当にウェルカムなのかどうかというのはすぐわかると言われます。旅行に行って帰ってきて心に残っていることというのは、朝市のおばさんとの会話であるとか、そういう人とのふれあいだったり、ちょっとした接点なんです。
だから「おらが町自慢」ができないところにお客様は来ないというふうに私は思っていまして、やはりその地域の人が本当に地域のことを好きになることが大事です。もしかしたら一番最初のターゲットは地域の人かもしれませんね。
○参加者(徳島県庁)
私も観光の誘致という仕事をしておりまして、ターゲットを絞るということは、非常に大切なことかなということを常日頃思っています。
徳島県で言いますと、昨年度、明石海峡大橋の開通があり、大手・中小の旅行会社がたくさん徳島を組み込んだ商品を作っていただいたこともあって、観光客の入り込みとしては前年比で150%から200%という状況になっていたのですけれども、今年度になりますと、平成9年度並みで、前年度の伸びの分だけ落ち込んだというような現状になっています。
○高崎
明石海峡大橋ができまして、淡路島などでは月によっては、私どもJTB関西営業本部の扱いだと対前年比400%、4倍というような数字がございました。ただここで大事なのは、橋というのはあくまでも機能なんです。ある地点とある地点を結びつけて便利に行き来できるようにするだけのことです。行く先に目的がなかったら行きませんよね。それが今は橋自体が観光魅力素材として人を引きつけている。その間にいかにリピーターに来てもらえるような、行った先にこんないいものがあるのかというのをお客様に見せられるのかが勝負だと思っています。そういった観点から、今年、来年、淡路島がどのような結果になっていくのかという事が気になっております。
最後になりますが、私が今回この資料をつくったり、お話をさせていただくにあたって、石川県、金沢市からいろいろな資料を送っていただいて、それを見て思ったことは、それぞれいろいろな部分で調査は行っておられます。ただし、その統計や調査ををどう生かすのかという分析をされているのか、調査すること自体が目的ではなくて、その調査をどう今後に役立てていくのか、という事を考えているのかが、疑問だなと思いました。折角いいデータがあるのですから、最後にちょっと苦言めいたことになってしまって恐縮ですけれども、感じたままをお話しいたしました。
皆様、本日はご協力、ありがとうございました。