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第二十一回日本剣道少年団研修会(体験・実践発表会)

最優秀賞者作品

期日 平成十一年二月二十一日(日)

場所 日本青年館

 

「生きるあかし」

 

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北海道函館市

函館弘道館

小学五年生

長永有加

 

私が一才の時、父が交通事故にあい、障害者になり、歩けなくなりました。母は、私達がいじめにあっても負けない、強い子にしたいと思い、兄と一緒に剣道を習わせてくれました。兄が小学二年生、私が三才の時でした。

平成七年三月五日、剣道少年団研修会、書道展で、希望と書いて、東京の消防ホールで剣道連盟賞をいただきました。その時、阪神大震災で家をなくした人も発表にきていて、びっくりしました。そして色々な体験発表を聞いてすっかり剣道が好きになりました。研修会が終り、ホテルに帰ると中、道に迷いぐうぜんに銀座で、お母さんをおぶっている、笹川良一先生の銅像を見ることができました。母に「幸せの目ってこんな目?。」と聞いて、顔を見たら母は泣いておりました。母に「今日いただいた、表彰状に書いてある、総裁笹川良一先生のことだよ。」と教えられ、ぐうぜんってすごいと思いました。そして、道に迷ってよかったと思いました。平成九年三月十六日に、書道で佳作に入り、東京にいくことはできませんでしたが賞状を送っていただきました。その賞状には、笹川先生の名前がありませんでした。その時笹川先生が亡くなったことを聞かされ、とてもさびしく、思いました。またいつか東京へいった時、笹川先生の銅像に会いたいと思います。

四辻館長先生は今年八十三才になります。先生は、自分にきびしく、私達にはやさしい人です。けいこはきびしいです。

先生は、時々昔の話をしてくれます。戦争中、軍隊で満州のチチハルにいて、幹部候補生でした。古兵から「生いきだ」といじめられ、北大出の士官候補生が助けてくれました。今度は、士官候補生がいじめられました。ある日消灯ラッパが鳴った時、士官候補生から「しっかり生きろよ。」と教えられ、次の朝、寝台を見ると先ぱいはおりませんでした。演習所の木に、首をつって死んでいました。その時のことを目にいっぱい涙をうかべ教えてくれました。その時はどうしようも無かった事だと思います。先生は先ぱいからもらった命を大切に大切に生きています。先生は、体の調子が悪く、何度か入院、退院をくり返しました。

 

 

 

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