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21世紀の広報を考える

 

細分化された情報があふれる時代に、必要な情報を必要とする人たちにどのように伝えていくか。それには、今まで雑誌や新聞から、またはテレビから得ていた情報をこれから人々はどのような形で得るようになるかを考えてみなければならないだろう。いまやインターネットの普及によって、あらゆる情報が自宅にいながらにして、また膝の上の携帯端末によって得られる時代である。

新聞や雑誌、テレビを利用して不特定多数に向かって情報を発する行為は、情報に社会性を持たせるためには不可欠の要素である。しかし、不特定多数に向かう情報発信だけでは、「欲しい情報を欲しい時に必要なだけ手に入れる」という欲求に100%沿うことは不可能だ。インターネットでの情報発信が重要な行為となる意味がここにある。

既存のメディアで情報に社会性を持たせると同時に、ネット上で「興昧を持った時から観劇後まで」のあらゆる行動をサポートする環境を作り出すこと。観たい公演を選べない人たちのための「選択サポート」、選べる人たちへの「公演詳細ガイド」、チケット購入ができる「オンラインボックスオフィス」、「劇場までのアクセスガイド(移動手段や鉄道運行ダイヤにいたるまで)」、「劇場施設の詳細マップ」、「公演以外のアクティビティガイド」、「観劇後のe-アンケート」、「登録制ダイレクトe-mail」、「アフターシアター情報」、そしてマスコミ向けの「e-プレスルーム」……。

劇場に行くことが「億劫な行動」と決めつけられないうちに、でき得る限りの試みがなされなければならないだろう。自宅のパソコンや携帯端末のモニターで演劇やダンスのライブ中継につないだだけで「舞台を観た」と満足してしまうような、そんな時代を迎えないためにも、フェスティバルがその先陣を切っていかなければならない時代が来ている。

 

 

 

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