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この場合において、海上保安庁その他の関係行政機関等は、他の関係行政機関、地方公共団体等に対し、防除措置の実施に必要な資機材の確保・運搬及び防除措置の実施について協力要請できるものとし、当該要請を受けた関係行政機関、地方公共団体等は、当該協力の必要の有無等を判断し、必要な協力を行う。

自衛隊は、防除措置の実施に必要な資機材の輸送について、関係行政機関又は地方公共団体から依頼があった場合、輸送の必要の有無等を判断し、航空機、艦船等の輸送手段を使用して必要な支援を行う。

(1) 排出防除措置

引き続く油の排出を防止するためにガス抜きパイプの閉鎖、船体の傾斜調整等による措置を行うほか、破損タンク内の油を他船または他の施設へ移送するいわゆる瀬取りを行う。

(2) 拡散防止措置

排出した油は、風や潮流の影響を受けて、通常急速に拡散し、海洋汚染の範囲が拡大するため、油汚染事件が発生した場合には、直ちに排出源付近の海域にオイルフェンスを展張して排出油を包囲し、拡散を局限する。

(3) 回収措置

排出した油の回収方法としては、油回収船、油回収装置等を使用して回収する機械的回収、油吸着材若しくは油ゲル化剤等の資機材を使用して回収する物理的回収、その他ひしゃく、バケツ等を使用して回収する応急的・補助的な回収があり、状況に応じてこれらの回収方法のうち最も効果的な方法を用いるものとする。

(4) 化学的処理

油の分解を促す油処理剤を使用した化学的処理がある。これは、回収措置の実施、気象・海象、周囲の自然環境、漁場又は養殖場の分布等の状況を勘案して、(3)に揚げる回収方法のみによることが困難な場合において実施するものとする。

3 防除措置を実施するにあたっては、第2章第1節の情報図などを参考にし、それぞれの手法の特質と海洋環境への影響を総合的に考慮して実施すること、できる限り海上での回収に努めること、また、海岸等に漂着させざるを得ない場合においてもその後の回収作業が行い易く、影響を受けた環境の修復が比較的容易と想定される場所に誘導すること等に注意を払う必要がある。

4 油が海岸等に漂着した場合、船舶所有者等の関係者により漂着した油の除去のための措置が実施されることになるが、関係行政機関、地方公共団体等は、当該除去のための措置の実施状況等を把握するとともに、迅速かつ効果的な防除作業が実施されるよう、関係機関の出動可能勢力、当該防除作業への支援体制等の情報を収集・整理し、船舶所有者等の関係者に対し提供等を行うよう努める。

 

 

 

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