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5.2 災害ボランティア活動におけるボランティアの属性判定

 

本節では、今後、検討課題の抽出及びその解決方法に関する考察を進めるに当たっての前段階として、前節で述べた属性分類に従い、ナホトカ号事故の事例に照らしながら、災害ボランティア活動(本調査では、流出油災害における一般市民等による無償の油回収活動のことをいう。)に関するボランティアの属性判定を行った。

(1) 職能区分に関する判定

 災害ボランティア活動における「専門職ボランティア」とは、油回収活動そのものに関しては、石油類の取り扱いや油回収等に関する専門の知識、技術、経験等を有する者であると言える。

ナホトカ号事故では、このような「専門職ボランティア」の活動参加例はほとんど確認できなかった。

数少ない例外として、「全国内航タンカー海運組合」の派遣したボランティアが、「三国ボランティア本部」のもと油回収活動に参加、当該活動における指導的役割を担ったことが確認されている。正に彼らは油回収活動に関する「専門職ボランティア」であったと言える。

その他ほとんどのボランティアについては、油回収活動そのものに関し「一般ボランティア」であったと言わざるを得ない。

一方、油回収活動そのものに対する側面・後方支援に関し「専門職ボランティア」とは、1]ボランティアコーディネートに関する専門の知識、技術、経験等を有する者、2]資金、人材、物資等の管理・運用に関する専門の知識、技術、経験等を有する者、3]その他、平素における自らの職業や資格に伴う専門的技術・技能等によって災害ボランティア活動の円滑な実施を支えた者などであった。

その具体例は、1]に関しては「阪神・淡路大震災において災害救援活動を経験したボランティア団体」や「社会福祉協議会の職員」による活動など、2]に関しては「青年会議所の所属員」による活動など、3]に関しては支援物資の管理や炊き出し等に関する「生活協同組合の職員」による活動や看護業務に関する「医療職有資格者」による活動などが挙げられる。

 

 

 

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