第5章 「災害ボランティア活動に関する検討課題と解決方法に関する考察」
本章では、前章までの調査結果等をもとに、国家緊急時計画の主旨に則った災害ボランティア活動(本調査では、流出油災害における一般市民等による無償の油回収活動のことをいう。)のあり方を視野に入れ、ナホトカ号事故をケーススタディの対象とした上で、当該活動に関する検討課題を抽出するとともに、その解決方法について考察を行った。
5.1 災害救援活動におけるボランティアの属性分類
本節では、今後、災害ボランティア活動に関する検討課題の抽出を行うに当たっての基本的認識事項として、地震災害や流出油災害等のいわゆる災害救援活動と称するジャンルのボランティア活動全般を捕え、様々な視点からボランティアの属性分類を行ってみた。
(1) 職能区分に基づく属性分類
災害救援活動におけるボランティアの属性分類方法については、様々な視点からのアプローチが考えられる。第一に、「職能」という視点から考えた場合、ボランティアの属性は「一般ボランティア」及び「専門職ボランティア」の二つに分類することができる。
「一般ボランティア」とは、「自らが有する専門的知識や技術・技能をボランティア活動に活かすことを主目的とするのではなく、自らが有する時間や労務を被災地、被災者等に提供することを主目的としたボランティア」である。
一方、「専門職ボランティア」とは、「自らが有する専門知識や技能をボランティア活動に活かすことを主目的としたボランティア」である。
(2) 所在区分に基づく属性分類
ボランティアの「所在」という視点から考えた場合、ボランティアの属性は「被災地域内ボランティア」及び「被災地域外ボランティア」の二つに分類することができる。
「被災地域内ボランティア」とは、ボランティアの住所または居所が被災地域内にあるボランティアである。
一方、「被災地域外ボランティア」とは、ボランティアの住所または居所が被災地域外にあるボランティアである。