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すなわち、社会福祉協議会とは、主として福祉関係のボランティアコーディネートを得意とする専門家集団である。

三国町にナホトカ号船首部が漂着した翌々日の1月9日、三国社協の上部団体である「福井県社会福祉協議会(以下、県社協と呼ぶ。)」の担当者は、三国町対策本部を訪れ、三国社協を通じ災害ボランティア活動の窓口となる用意がある旨を申し入れた。三国町対策本部はこれを受け、即刻、三国社協に対しボランティア対応を行うことを命じている。

その頃、三国社協には全国から災害ボランティア活動への参加希望の問い合わせが殺到していた。これに対し三国社協では三国対策本部の意向を踏まえ、現時点では参加登録を受けるに止め、実際の出動要請は後日行うという対応を行っていた。

翌10日、三国町対策本部は三国社協に対し、ボランティアの受け入れに着手するよう指示、これを受け三国社協では受け入れ開始のための準備作業を開始した。翌11日、三国社協では、数時間前に現場受付所を開設していたJC等によるボランティアセンターと同様、「ボランティア現地受付所」を開設した。

ナホトカ号船首部分に程近い現場には、同日午後の時点で、二つの異なったボランティア受付所が存在したわけである。しかしながら、両組織は同日夕刻には合体することとなる。

(6) 三国方式の構築

前述のとおり、三国町では1月11日午後の時点において、二つの異なった組織体によって、各々別途、ボランティア対応が行われていた。しかしながら、両組織は同日夕刻には合体を果たしている。

すなわち、同日夕刻、ボランティアセンターと三国社協との間で話し合いがもたれ、両組織は「三国ボランティア本部(以下、ボランティア本部と呼ぶ。)」という統一組織のもとに一体化することとなった。

JC等による組織であったボランティアセンターは、ボランティア本部の実働部隊としてボランティアの受け付け、作業振り分け、情報の収集・分析・発信等の業務を担い、三国社協はボランティア保険の受付、行政(三国町)との連携、福祉ニーズの把握、物資の受け入れ等の業務を担うこととなった。

ここに各組織がそれぞれの得意分野を活かしつつ、行政(三国町)との連携を保ちながら運営を行う、公・民一体となった災害ボランティア活動の調整システムが構築された。このシステムは通称「三国方式」と呼ばれている。

 

 

 

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