その頃、マスコミ報道等によって三国町の状況を知った全国のJCからMAKJCに対し、必要な人員、資材及び資金の要請を促す申し入れが殺到していた。
翌1月9日午前、JC福井ブロック及びMAKJCの代表者は、三国町対策本部に対しボランティアの受け入れ交渉を行った結果、「現時点ではボランティアの登録のみを受け入れ、実際の活動はその後状況を見てから要請する」との回答を得た。
同日午後、JC福井ブロックは「福井ブロック協議会重油漂着除去対策本部」を立ち上げ、JC組織の全国ネットワークを利用して油回収活動に必要な資材等の準備及び回収要員の手配を行うことを正式に決定した。
翌10日、JC福井ブロックは三国町対策本部に対し、一日100名単位の要員を手配し油回収活動に参加する旨を告げ、組織的なボランティア団体として三国町に正式登録されるに至った。JC福井ブロックでは、ただちに対策本部をスタートさせ、必要な人員、資材等の手配に着手した。
(4) 重油災害ボランティアセンターの設立
前述のとおり、三国町では民間主導による組織的な災害ボランティア活動の立ち上げに関し、阪神・淡路大震災において活躍したボランティア団体及び青年会議所の両組織が、各々別途の初期対応を図り準備を進めていた。両組織は極めて短時間のうちに一体化することとなる。
すなわち1月10日の夕刻、JC全国ネットの支援のもと、本格的な活動をスタートさせようとしていたJC福井ブロックのもとに、元気村の担当者が訪れ「JCが対策本部を設立することは評価したい。しかしながら、JCは全国から集まるボランティアのコーディネート及びその活動支援を地元代表として行うべきである」と述べ、JC福井ブロックを中核とした両組織の一体化を提案した。
JC福井ブロックはこれを受け、ここに両組織が合体した「重油災害ボランティアセンター(以下、ボランティアセンターと呼ぶ。)」と称するボランティアコーディネート組織の開設が決定された。
翌11日朝、ボランティアセンターは、ナホトカ船首部分漂着現場に程近い現場で、ボランティア受け付け等の業務を開始した。
(5) 社会福祉協議会による初期対応
社会福祉協議会とは、地元住民による福祉活動の支援等を目的として各市町村ごとに設置された社会福祉法人である。三国町には「三国町社会福祉協議会(以下、三国社協と呼ぶ。)」が置かれ、三国町福祉課の監督指導のもと、ボランティアによる支援を必要とする地元住民とボランティア活動への参加を希望する住民とをコーディネートする役割を担ってきた。