一般に、ボランティアセンターなどと称される受入れ組織の形態としては、その設立母体の視点から1]地方公共団体が構築したケース、2]地元のボランティア団体が構築したケース、3]ボランティアコーディネートに関し過去の実績とノウハウを有する地元以外のボランティア団体が構築したケース、4]これらの複合体が構築したケース、以上の四つに大分類することができる。
次節において、1]の一例として福井県のケースを、2]の一例として石川県のケースを、3]及び4]の一例として三国町のケースをそれぞれ紹介する。
なお、こうした受入れ組織に加わることなく、自らの意思と判断に基づき独自の災害ボランティア活動を展開した、個人及び団体(各種ボランティア団体、海事関係サークル、地元観光協会等)単位のボランティアも多数存在したことも事実であった。
ところで、すでに述べたとおり、ナホトカ号事故におけるボランティア受入れ組織の目的を一言でいえば、災害ボランティア活動に対し的確なコーディネートを行うことであった。
しかしながら、ナホトカ号事故における災害ボランティア活動に対するボランティアコーディネートは、単にボランティアの作業振り分け等を行い、炊き出しや物資調達・支給等、現場作業に対する側面・後方支援を行えば済む問題ではなかった。
すなわち、前項で述べたように、マスコミ報道を発起情報源としたボランティアは特定の被災地に集中する傾向にあったため、こうしたボランティアの受け皿となり、被災地全般の状況を広範囲に見渡した上で、彼らを適所に分散させるなどの機能を果たすことも重要であった。
言葉を換えれば、ボランティアの受入れ組織は、重油流出事故による被害影響の深刻さを広く国民に伝えることを主目的としたマスコミ報道を発起情報源としたボランティアに対し、災害ボランティア活動の円滑な実施を図る上で必要な諸情報を与える役割を担っていたのであった。
こうした機能は、特に、マスコミ報道を発起源としたボランティアが集中し、かつ、阪神・淡路大震災における災害救援活動を通じ同様の経験を有するボランティア団体等がボランティアセンター等の設立に関与したケース、一例を挙げれば「三国ボランティア本部」において顕著であった。