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4.1 ナホトカ号事故における災害ボランティア活動の概要

 

(1) 災害ボランティア活動参加者の発起情報源

ナホトカ号事故の際、ボランティアに活動への参加を発起させた直接の情報源が何であったかについては、全体の状況を取りまとめた資料が存在しないため、あくまで推測の域を脱しない。しかしながら、「三国ボランティア本部(後述)」がボランティアを対象にアンケートによる意識調査を行っており、当該調査結果が参考となるであろう。

すなわち、同本部のまとめによれば、ボランティア(個人資格で参加したボランティアに限る)に災害ボランティア活動への参加を発起させた情報源の種類別内訳は、「新聞報道」が最も多く全体の34.0%、次いで「テレビ報道」の33.6%、「インターネットのホームページ等」の9.7%、「知人・友人の紹介」の8.9%、「ラジオ報道」の5.5%、「所属団体の呼びかけ等」の5.3%、その他の3.6%と続く。

この調査で注目すべきは、第一に「新聞報道」、「テレビ報道」及び「ラジオ報道」といったマスコミ報道によるものが全体の約73%を占めていた点である。また、「インターネットのホームページ等」を情報源としたボランティアが全体の約10%を占めていたことも、世が正にインターネット時代であることを反映しており注目すべき点である。三国町以外の地域における災害ボランティア活動参加者の発起情報源についても、ほぼ同様の傾向にあったものと推測される。

ところで、マスコミ報道は当時、重油流出事故による被害影響の深刻さを広く国民に伝えることを主要な目的としていたものと思われる。すなわち、災害ボランティア活動の円滑な実施を図る上で必要な諸情報を、当該活動へ参加を希望する者に対し的確に伝えることなどは特に目的とはしていなかったであろう。

そのため、マスコミは当該事故による被害影響の深刻さの象徴として、ナホトカ号船首部分が漂着した福井県三国町の模様を繰り返し報道した。その結果、当該報道を発起情報源としたボランティアの多くが、広範囲にわたる被災地の中から特に三国町を選び集中するなどの現象をもたらした。

(2) ボランティア受入れ組織の形態と機能

ナホトカ号事故に際しては、阪神・淡路大震災のケース等と同様、災害ボランティア活動に対し的確なコーディネートを行うことなどを目的に、様々な形態の受入れ組織が各地で構築された。

 

 

 

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