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防災基本計画は昭和38年に作成されたものであるが、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災において、6,000名を超える死者・行方不明者等の大規模な被害が生じた経験・教訓を踏まえ、平成7年7月、自然災害対策を中心とした改訂が行われている。

さらに、平成9年6月には、社会・産業の高度化、複雑化及び多様化に伴い、自然災害のみならず事故災害についても防災対策の充実強化を図ることが必要であるとの観点から、海上災害対策編、原子力災害対策編、危険物等災害対策編等の事故災害対策に係る計画を追加する改訂が行われた。

そのうち、海上災害対策編(巻末の「参考資料2」を参照)の追加については、ナホトカ号事故の経験が反映されている。

防災基本計画海上災害対策編は、ナホトカ号のような船舶による大規模油流出事故のみならず、船舶の海難に伴う多数の遭難者・死傷者等の発生、船舶からの危険物等の大量流出による著しい海洋汚染、船舶火災・爆発等の発生といった海上災害全般にわたる記述がされている。前項で述べた海岸漂着油の除去等の活動に関して言えば、同編によって関係行政機関等の役割分担が明確にされることとなった。

(5) 防災基本計画と災害ボランティア

ところで、防災基本計画海上防災対策編では、本調査の対象である災害ボランティア活動(流出油災害における一般市民等による無償の油回収活動のこと)に関し、改訂国家緊急時計画に見られるような特段の記述はされていない。

しかしながら、防災基本計画の第1編「総則」や第14編「その他の災害に共通する対策編」では、各災害に共通する事項として、災害におけるボランティア活動全般に関する記述を見ることができる。

すなわち、第1編、第2章では、周到かつ十分な災害予防の観点から、国民の防災活動を促進するための住民への防災思想・防災知識の普及、防災訓練の実施、自主防災組織等の育成強化、ボランティア活動の環境整備、企業防災の促進等の必要性について述べているほか、迅速かつ円滑な災害応急対策の観点から、ボランティア、義援物資・義援金及び海外からの支援を適切に受け入れることの重要性について述べている。

また、第14編、第1章、第4節では、1]地方自治体は、ボランティア団体と協力して、震災発生時における防災ボランティアとの連携について検討すること、2]国及び地方自治体は、日本赤十字社、社会福祉協議会等並びにボランティア団体との連携を図り、震災時におけるボランティア活動が円滑に行われるようその活動環境整備を図るとともに、平時においては、ボランティアの登録、災害時におけるボランティア活動拠点の確保等について検討すること、と述べている。

 

 

 

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