日本財団 図書館


しかし、海岸やその沖合に居るレジャーの人達、漁業や海洋工事を行っている人達には陸上からの警報が伝わりにくい。海岸沿いに設置されている同報防災無線の拡声器も到達距離は300m程度である。そこで開発されたのが高さ250mの上空に信号弾を打上げ信号音と信号煙により半径約4?の範囲に、津波警報が発令されたことを短時間に伝えることができるロケット式の新津波警報伝達装置で、伝達のイメージを図-2に示す。

この津波警報に気付いた人達は、まず安全な場所に避難することができ、また、ラジオなどで津波情報を入手し適切な行動に移ることができ、このように注意を喚起する「アテンション・コール」としての機能も併せ持っているのも新システムの特徴である。

本システムは、現時点では、気象業務法上の津波警報伝達手段に位置付けられていないため、信号弾はアテンション・コールとしての取り扱いとなるが、このような位置付けであっても、防災上の効果は高いと考えられる。

次に、本システムの設置主体、打上場所等については次のように考えている。

(1)設置(打上)主体

確実な情報を最も早く入手でき、住民等に警報を伝える市町村などが設置主体となることが望ましい。

 

(2)保管及び打上場所

本システムが海岸付近に居る人達を対象にしているため、打上場所は次の要件を満足する必要がある。

1]海岸に近い場所

2]打上担当者が常駐している場所あるいは直ぐに行ける場所

3]津波に対して安全である場所(高台、建物の屋上等)

従って、保管場所は当然打上場所に近い所が理想的である。保管に当たっては法令上、火気のない所、盗難などの心配のない所となっている他は特別の制約はない。

 

(3)装置の配置と共同伝達体制

この装置の警報伝達範囲は半径4?以内であるため、8?間隔で配置すれば良いことになる。しかし、海岸線の長さや行政区画を考えると、1市町村で数箇所必要な場合と複数の市町村で1箇所設置すれば良い場合とがある。後者の場合は関係市町村での共同伝達体制を考慮する必要があろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION