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9.2 今後の課題

(1) 伊良湖水道航路における対面交通(通航分離)

伊良湖水道航路通航の現状に関して、船舶運航者へのアンケート結果に見られるとおり、反航する巨大船と準巨大船が同時通航できないことによる、準巨大船の航路外待機等の不都合、待機船等の操船上・安全上の問題、運航効率の問題等を指摘する者が多い。

海上交通センターの整備・運用により、準巨大船の通航が航路通報を基に予め作成される管制計画(通航計画)に組み込まれること、航路入航時間間隔が現行より短縮されること等から、指摘されている不都合な点の大幅な改善が期待されるところである。

しかしながら、船舶の大型化の傾向から、長さ200m以上の巨大船および長さ130m以上200m未満の準巨大船が今後とも増加すると想定すれば、伊良湖水道航路における対面交通(通航分離)の実施、またはこれに準ずる方法についての検討は、中長期的な課題と言えよう。

具体的な検討課題として、下記が考えられる。

1] 航路幅の拡張

対面交通(通航分離)が行われている他の海上交通安全法航路並みに、航路幅を1,400m以上に拡張して、あるいは神島西側に新たな航路を開削して、対面交通(分離通航)を可能とする。しかし、伊良湖水道航路付近には、朝日礁、丸山出し、コズカミ礁等の浅所があり、航路幅の拡張や新たな航路の開削には、多大な浚渫費用、漁業者との調整、自然保護・環境保全等の問題がある。

2] 対面交通(通航分離)の可否

従来、対面交通(通航分離)を行うには片側700m、両側で1,400mの航路幅が必要であり、航路の全幅が1,200mで航路中央標識のない伊良湖水道航路において、長さ200m以上の巨大船と安全に反航できるのは長さ130m未満の船舶であるとされている。

しかしながら、船舶運航者へのアンケート調査の結果によれば、現状においても、巨大船と準巨大船の行会いは可能であるとする意見もあった。また、平成6〜8年度伊勢湾海難防止協会による「伊良湖水道航路における航行安全に関する調査研究」(中間報告書)においても、巨大船と準巨大船の行会い等についての検討がなされている。

海上交通センターの運用に伴い、船舶動静の監視、連絡の確立・保持、航行に関する指導等が行われ、航行の安全性の向上が期待できること等を踏まえ、伊良湖水道航路における対面交通(通航分離)の実施の可否について、改めて検討することが望ましい。

また、航路内にて操業する漁船・遊漁船について、無謀な操業、航法の不遵守を指摘する声もある。これら漁船・遊漁船に対する航法遵守等の指導の徹底、現場における監視・指導の強化、航路内操業と船舶航行に係る関係者間の調整等について、改めて検討することが望ましい。そのことにより、安全性がより向上し、対面交通(通航分離)の可能性も大きくなると思われる。

 

 

 

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