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5. 今後の課題

 

本年度の調査研究では、前年度までに検討したオゾン処理法と電気化学処理法に加え、気液混合力と粒子粉砕力を持つことから両処理法の効果や船舶適用性の向上技術となり、また、自体も生物殺滅能力を備えていると考えられたミキサーパイプを中心に各種実験を実施した。

その結果、ミキサーパイプ単独の処理法でも、一定レベルの生物殺滅効果が得られ、処理可能水量、装置の大きさ、経済性、運用面で優れていることから実船への適用性が高い方法であると評価された。しかし、本年度の実験および各種検討は、現有しているミキサーパイプをそのまま用いて実施したものであり、バラスト水の処理用としては何ら改良を加えていない。例えば、旋回部や突起部を改良し、より効率良く生物殺滅能力が得られるようにすれば、オゾン処理法や電気化学処理法で得られるような高い生物殺滅能力に近づけることも可能と思われるし、そのような改良は、装置の汎用性を増し、適用可能な船舶の範囲もさらに広がるであろう。今後は、改良機の試作と実験を繰り返して、最良なミキサーパイプ単体構造を考案することが初期の課題となる。さらには、その単体構造を基本とする実機レベルの装置を試作して効果を確認し、それらデータに基づいて、船舶関連業界と国際間への提案と周知をはかり、実船を用いた実証実験で効果の最終確認をすることが望まれる。

ミキサーパイプ処理法をこのように実船レベルにすることは、オゾンとの組み合わせ処理法の課題であるオゾン発生機の大きさを小型化することにもつながる。また、電気化学処理の課題である処理可能水量の増加にも寄与すると考えられる。

 

 

 

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