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2] 本実験(漲水時・排水時処理想定実験)

本実験では、ミキサーパイプ単独でバラスト水を漲水時に処理、排水時に処理(共に1パス処理)、漲水時と排水時の両方で処理(1パス×2回処理)した場合の海洋生物殺滅効果等を検討した。また、航海中のバラスト水環境である暗黒条件下で、1週間貯蔵した場合と2週間貯蔵した場合で実施し、航海期間が1週間と2週間の場合を想定したデータを取得した。なお、現有ミキサーパイプにおいて可変要素である空気注入量は、先の空気注入量実験結果から海水流量の7.5%を基準にして行った。海水流量は、実船(北米コンテナ船)の管内流速2〜6m/secの範囲内である270〜370L/min.で行った。

a 2週間航海想定実験(夏季実施)

2週間航海想定実験では、次の2実験を行った。

1) 空気注入率を連結全体で海水流量の7.5%に設定した3〜5連結実験(パイプ入り口圧はいずれも5kgf/cm2、海水流量は3連結:370L/分、4連結:318L/min.、5連結:270L/min.)

2) パイプ1段当たりの空気注入率を7.5%に設定し、全体で25.5%となる3連結実験(パイプ入り口圧4.8kg/cm2、海水流量340L/分)

なお、前者1)は、処理直後と2週間後の状況、つまり漲水時に処理した場合を想定し、後者2)は、漲水時処理と共に、原水を2週間暗黒下で貯蔵した後に処理、さらに、一度処理した海水を同様に貯蔵して再処理した状況、つまり排水時に処理した場合と漲水・排水両時期に処理した場合を想定して行った。

(a) プランクトン

表II.2.2-14および図II.2.2-16には、プランクトンに関する実験結果を示した。図II.2.2-17には、各実験における植物プランクトンおよび動物プランクトンの損傷率を示した。

プランクトンに関しては、いずれのケースにおいても処理直後である程度の損傷率が得られており、ミキサーパイプがプランクトンの殺滅に有効であることを表している。

植物プランクトンに着目すると、原水をそのまま2週間貯蔵した場合(未処理、暗黒条件下貯蔵)でも100%近い損傷率となっている。この結果は、光合成を行う植物プランクトンにとっては2週間の暗黒条件は生育にとって極めて厳しい環境で、処理しない状態でもほとんどが死滅してしまうことを意味している。

 

 

 

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