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I 研究概要

 

1. 実施目的

 

船舶のバラスト水に混入した外来種水生生物の侵入による貝毒の発生、生態系破壊等の海洋汚染問題に関しては、IMOにおいて国際条約によるバラスト水管理強制化の方向で検討されている。一方、米国、豪州等においては、自国水域入域船舶に対する外洋におけるバラスト水交換と、当該バラスト水交換の代替方策等を、国内法で規制している。

また、わが国においても、バラスト水によるものと思われる外来種の侵入・定着例が、少なからず報告されている。

しかしながら、バラスト水交換法は、安全面、経済面等により、実施の困難性が指摘されており、米国、豪州、欧州等の国々においては、バラスト水交換法に替わる手段として、濾過法,温度管理法,紫外線処理法,化学処理法等によるバラスト水清浄化に関する調査研究が行われている。

当協会が平成9年度から実施している「船舶のバラスト水管理方策に係る調査研究」では、化学処理法の中でも環境への副次的影響が少なく生物殺滅効果も高いオゾン処理法と、生物殺滅能力・周辺環境への安全性等の面で特に有効性が高いと評価される電気化学処理法について、海洋生物に対する殺滅能力に関する基礎実験を実施し、バラスト水交換法の代替手段としての評価・検討を行った。

平成11年度の目的は、それら結果をふまえ、オゾン処理法および電気化学処理法の課題克服に有効であり、かつそれ自体でも水生生物殺滅効果を持つ水生生物粉砕・攪拌・死滅装置(ミキサーパイプ)を中心に、実船のバラスト漲・排水量を想定したレベルの実験を実施し、実船への適用の具体的方策を検討して、バラスト水による海洋汚染問題に対する合理的な解決策および今後の国際的な対応策に寄与することである。

 

 

 

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