その他、香港、英国及びノルウェーからは、プレジャーボート利用者に対して、携帯電話ではなく適切なVHF無線機を使用することを奨励しているとの発言があった。
(15) 警報の配信
米国から、多くの地域でSAR条約締約国における隣接国SAR協定が締結されていないために捜索救助地域の設定がなされていない現状に鑑み、捜索救助区域の設定を促進するためにICAOが航空機の捜索救助区域に利用しているタシット方式の導入が提案された。
SAR WGにおいて、我が国は、捜索救助区域が設定されていなくても、隣接する救助調整本部同志が緊密に連絡を取り合うことで、適切な捜索救助活動の実施が可能であることを主張したが、多数の国が米国提案を支持し、またプレナリーでも承認された。
このため次回のMSC72で審議された後、IMO事務局長に対して、SAR条約締約国に宛てて、捜索救助区域策定のための異議通告の対象となる暫定SARプランを回章するよう依頼されることとなった。
(16) クルーズ船に対する捜索救助機関との協力のための計画の適用
SAR WGにおいて、クルーズ船はSOLAS条約第5章15規則(c)に該当するとされたため、提案国フランスにおいて本件に係るMSC回章を作成し、審議のため次回MSC72に提出されることとなった。
(17) SAR とMSIの関係の明確化
プレナリーにおいて、フランス提案につき説明されたところ、デンマーク、イツ、ブラジルがこれを支持したが、オーストラリアから決議A.705(17)の修正に関してはMSCの承認が必要であること、英国から「海上安全情報業務」の定義そのものを明確にすることは極めて難しいとの意見が出され、今次会合においては、本フランス提案の取り扱いについてのみOperational WGにその検討が委ねられた。
Operational WGでの検討結果を踏まえ、プレナリーにおいて本件提案を次回のCOMSAR5で考慮すること及び同提案中決議A.705(17)の修正については、早期にMSCに提案すべきであることが確認された。
(18) 第6回ICAO、IMO合同WGの報告
SAR WGにおける検討の結果、当該合同WGの勧告6/1〜6/18について、それぞれ適当であるとされたが、プレナリーでの審議において、
1]IAMSARマニュアルの改正手続き権限をCOMSARに与えるべくMSCに諮ることについては、トルコから手続的に問題があるとの意見が出され、結局否決された。
2]IAMSARマニュアル第3巻の船舶への備付を義務づけるためのSOLAS条約改正案の作成権限をCOMSARに付与すべくMSCに諮ることについて、そもそも備付の義務化が必要か否かの問題提起がギリシャからなされたが、多数の国の支持を受けたドイツの提案により義務化すべくSOLAS条約を改正することとされた。
3]その他については、エディトリアルな修正が一部加えられた上で承認された。