日本財団 図書館


6] タンク洗浄剤

貨物艙の洗浄に「タンク洗浄剤」を使用することは、洗浄効果を高める上で、その価値は十分認められています。しかし、一般に洗浄後の油水分離作業が困難になること及び洗浄中に貨物艙内の静電気量が増大することもあり、使用しない方がよいでしょう。

<洗浄後の貨物艙の点検>

貨物艙の洗浄が終了し、当該艙内がガスフリーとなったならば、バラストを漲水する前に洗浄度の点検を行わなければなりません。同時に艙内構造物の損傷の有無も点検するのが普通です。

洗浄が効果的に行われた場合は、艙内構造物表面にはほどんど油分が残りません。しかし洗浄水が当たらなかった死角あるいは、洗浄中に汚水が溜まった箇所にはスラッジが残ります。高温水で洗浄を行った場合、艙内に残留している油分の流動点は、60℃前後が普通であり、海水を漲水した場合、表面にほとんど油は浮上しません。艙内構造物表面にベットリした油分が多量に残っている場合は、洗浄の失敗であり、高温水で再度洗浄をやり直すことが望まれます。

クリーンバラストを漲水する場合、一般的に洗浄後、艙内に残留するスラッジは処理しません。冷海水で洗浄を行った場合、残留油分の流動点が比較的低く、バラストを漲水した場合、表面に油分が浮上することが多いので注意を要します。いずれにせよ、貨物艙内に漲水したバラストの表面には、多少の油分が認められるのが普通ですが、これらの油分はバラストの排出に伴い再度構造物に付着し、艙内に残留します。

漲水したバラストの表面に着色を認める程に多量の油が浮上しているのは、洗浄が不十分な証拠であり、この様な場合は、再度洗浄を行います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION