現在は、船も大型化し機関推進なので同一視はできませんが、荒天時に無理な航行を続けると危険なことに本質的な違いはありません。
2 航空機の避難例
昭和41年8月4日の夜、濃霧に覆われた羽田空港への着陸を断念して福岡空港へ向かった日航機がありました。ハワイから飛んで来た「瀬戸号」です。精密な誘導装置のない時代で、瀬戸号は着陸を2度試みたが滑走路はよく見えず、安全に絶対の自信が持てなかった機長は飛行機を福岡に向けたのです。
アナウンスを聞いた乗客から不満の声が上がったといいます。不満は福岡空港での入国手続きが手間取ったことで更に高まっていました。
乗客達がようやく空港ロビーに出てきた時に、彼らがそこでテレビで見たのは、なんと羽田空港への着陸に失敗し滑走路上で大破、炎上しているカナダ太平洋航空機だったのです。
不満の声は一転して、瀬戸号機長への賞賛、感謝に変わったのです。
“臆病者といわれる勇気をもて”瀬戸号以来、航空界に広まった格言です。
3 船舶の避泊
1] 気象の変化の予測
気象情報を確実に入手し、海上模様悪化の時期を予測する必要があります。
2] 普段からの避泊地の調査
急に避泊地を探しても、そこが強風時の錨泊に耐えられるのか、また以前には広い泊地があったのが、海苔(のり)ひび、カキ棚や養殖施設の設置で泊地が狭まっていたりして、錨地が確保できるのか分からない場合が多くなっています。
普段から水路誌などの資料から、自船の航路途中にある港湾を調べ避泊の適地を選定しておくほか、これら港湾を航行する機会がある時には、海図と照合し、レーダーや双眼鏡で調査して、必要な事項を海図上やノートに記録しておくと有効です。
3] 資料の収集
資料がない場合や最近の様子が分からない場合は、僚船に聞くとか、会社を通じてその港湾を管轄している官署や漁協などから資料(図のコピーなど)を送付してもらうとよいでしょう。