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しかし、チリ津波のようにはるか太平洋を伝わって来襲するものもあります。津波は水深が深いほど速く進みます。例えば、水深4,000mの場合では384ノット、水深300mでは104ノットの速度です。

津波の高さは外洋においてはせいぜい1メートルぐらいまでですが、波長の方は数百キロメートルもあります。このため外洋を航行中の船舶には通常感知されません。

ところが水深は海岸に近付くほど浅くなるために、その速度も遅くなって波と波との間隔が狭くなり、エネルギーの集中が起こって波高が高くなるのです。

津波は海底の地形に大きく影響されるほか、湾の形によっても波高が大きく変化します。遠浅の海岸よりは急に深くなるような海岸で、また、U字型の湾よりもV字型の湾の奥で波高は大きくなります。

三陸沿岸はリアス式海岸で湾や入江が多く、また、水深も陸岸まで急激に深くなっていますが、このような場合の湾の奥の波高は、入り口の波高の十数倍になることがあり、この地方に昔から津波の災害が多い理由にもなっています。

3 津波への対応

気象庁を含む関係省庁で構成される「津波対策関係省庁連絡会議」は、平成11年7月12日、1] 事前の備え2] 津波警報3] 避難についての申し合わせを行い、船舶に関しては「強い地震を感じたら、船舶は港外に避難すること」を基本として、次に示す広報文の例により、津波警戒に関する周知の徹底を図るものとするとしています。これを参考にしてください。

[津波に関する心得]広報文例<船舶偏>

1] 強い地震(震度4以上)を感じたとき、または弱い地震であっても長い時間ゆっくりとした揺れを感じたときは、直ちに港外退避する。

2] 地震を感じなくても、津波警報、注意報が発表されたら、すぐ港外退避する。

3] 正しい情報をラジオ、テレビ、無線などを通じて入手する。

4] 港外退避できない小型船は、高い所に引き上げて固縛するなど最善の措置を取る。

5] 津波は繰り返し襲ってくるので、警報、注意報解除まで気をゆるめない。

注 港外:水深の深い、広い海域

港外退避:小型船の引き上げ等は、時間的余裕がある場合のみ行う。

 

 

 

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