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一寸の油断が、一寸の居眠りが、アッという間の危険に急接近します。

2 高速化と人間の注視点

高速船を操縦する人たちは一体どこに意識を集中しながら操縦しているのか「ジェットフォイール操縦者の視線の動きについての実験結果」(昼間の事例)を紹介しましょう。(右図)

 

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1] 港内を一般速力(約10ノット)で航行中は、注視点の広がりは左右に広く、正横付近から前をまんべんなく見張っていることを示しています。

2] 広い場所を高速(40〜43ノット)で航行中は、注視点の広がりは左右に狭く、上下に広いので操縦者は左右の見張りよりも、前方の進路上の見張りに集中していることがわかります。

3 高速船の注意事項

1] 自動操舵使用

高速化時代、自動操舵にまかせて船橋を少しでも空けてはいけません。居眠りはもちろんご法度(はっと)です。相手船が2〜3マイル離れているからといって、一寸トイレに行ったり、網、漁獲物の整理に夢中になったり、また他の作業に気を取られたりしていると避航余裕はなくなり、ときには衝突してはじめて気がつくという事態になってしまいます。

「猪突猛進」は「衝突盲進」となってしまいます。

 

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2] 見張りの強化

特に船舶輻輳海域、狭水道、港内航行については減速し、また高速時は見張員の増強や役割分担など、状況と速力に応じた適切な周辺見張りが可能となる措置をとる必要があります。

3] 早めの判断

高速化時代、行き合い船や横切り船との避航などの判断は、より早めの判断、早めの措置(避航など)が必要で、このことは距離感覚ではなく時間的に「早めに!」が要求されます。

 

 

 

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