日本財団 図書館


平成十一年度

全国海難防止強調運動推進大会あいさつ

(社)日本海難防止協会 会長 友國八郎(ともくにはちろう)

 

002-1.gif

 

平成十一年度全国海難防止強調運動推進大会にあたり、ご挨拶申し上げます。

わが国は四面を海に囲まれ、海上での各種の活動が活発に行われていることから、海難が多発しており、過去においても、旅客船、漁船などの多数の犠牲者を出した悲惨な海難や、タンカーなどによる油流出、爆発などの社会的に大きな影響を及ぼす重大海難の発生がみられました。

私ども日本海難防止協会は、世界でも数少ない海難防止の調査研究機関として、創立以来四十年余り、運輸省、海上保安庁などのご指導のもとに、その時代の要請に応えるべく、海難防止に関する各種調査・研究に力をそそぐとともに、広く積極的な海難防止周知啓もう活動を展開してまいりました。

最近は従前に比べ、数字的には減少が見られるものの、プレジャーボート等の海難は増加の一途を続けており、また、ナホトカ号、ダイヤモンドグレース号の事故に見られるような外国船の海難が高い割合を占め問題視される状況にあります。さらには漁船など他の船舶についても尊い人命が失われるような社会的に問題となる海難は後を絶たない状況にあります。

また、国外に眼を転じますと、最近、マララッカ・シンガポール海峡において、旅客船の火災、大型タンカーの衝突事故が相次いで発生しております。

旅客船については、間もなく沈没しましたが、乗客・乗組員全員が無事救助されタイタニックのような大惨事は避けられ、また、大型タンカーの方も幸い油を積んでいなかったため大規模な災害発生は免れましたが、わが国関係者にとっては、決して対岸の火事として傍観できないことであります。

当協会では、日本財団のご支援により設置いたしましたシンガポール連絡事務所において、海難原因などの情報収集に当たっており、この種海難の防止に役立てたいと考えているところであります。

以上のような状況に鑑み、本年度の海難防止強調運動の重点事項は「船舶の点検・整備と航海用機器類の適正な使用」です。

特に毎年多く発生している"衝突や乗揚げ海難"を防ぐためには、レーダーや自動操舵機などを、これらに頼り過ぎることなく、油断せず、正しく使用すること、また、最近増え続けている"エンジンの故障"を防ぐためには、常日ごろの整備と出港前の点検を実行することが重要です。

七月十六日から三十一日までの間、官民一体となっての「全国海難防止強調運動」を展開しているところですが、去る二十七日には、関係者に加え一般の方々にも参加していただき、その運動の一環として「推進大会」を開催しましたところ多くの参加があり感謝しているところです。

今後とも「海難ゼロヘの願い」に向けて、努力する所存ですので、一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION