このたび、社団法人日本海難防止協会の会長に就任いたしました友國でございます。
寺井前会長は、豊富な経験を生かされ本協会の諸活動に多くの功績を残されました。特に、オスパー計画の国際活動への進出、シンガポール連絡事務所の開設等重要課題にご尽力いただきました。また、昨年は本協会の創立四十周年の諸行事を無事終えられました。
私は、その後を継ぐことになり大変光栄に存じております。
私は、本協会のこれまでの輝かしい足跡に敬意を表し、また、一層の発展を陰ながら祈念して参りましたが、このたび、会長に就任するに当たり、その責務の重さを痛感しているところです。
さて、わが国周辺海域では依然として船舶海難が後を断たず、特にプレジャーボートや外国船舶の海難が際立っておりますし、人身事故も相変わらず多発しております。また、船舶からの油流出事故による海洋汚染も重大な問題です。
一方、マラッカ・シンガポール海峡のようなシーレーンの安全確保や環日本海沿岸諸国との日本海の海洋環境保全さらには最近注目をあびはじめました海賊問題など、国際的な視野に立った取り組みの必要な課題もたくさんございます。
これら海難防止と海洋環境の保全は、もとより私たちに課せられた使命でありますが、従来からの活動の継続に加え、新しい問題に対処するべく英知を出して活動を展開して参りたいと思います。
私どものモットーであります「安全できれいな海を守る」ことを肝に命じて努力を傾注して参る所存でございますので、運輸省、海上保安庁をはじめ関係官庁および日本財団ならびに日本海事財団、さらに関係各位におかれましては、これまで同様にご支援とごべんたつを賜りますようお願い申し上げ、新任の挨拶とさせていただきます。
〔会長略歴〕
昭和三年八月七日神戸市生まれ、二十八年三月一橋大学卒業、二十八年四月三井船舶株式会社入社、三十九年四月大阪商船株式会社と合併、大阪商船三井船舶株式会社と社名変更、五十三年六月経理部長、五十六年六月取締役、財務部長委嘱、六十年六月常務取締役、六十三年六月代表取締役専務取締役、平成元年六月代表取締役副社長、三年六月代表取締役会長、六年六月代表取締役相談役、八年六月相談役、十一年四月ナビックスライン株式会社と合併、株式会社商船三井と社名変更